小さな私と成長した彼ら
色々特殊設定&死ネタ
忍として戦場で生を終えるのではなく、休暇でたまたま出くわした山賊に襲われていた子供をかばって死ぬなんて我ながらあっけない最後だと思う。
山賊は全員始末して子供はすでにいない。無事に逃げ延びてくれていればいいけど。
視界がかすんで立ってもいられずその場に倒れこむ。
腹部の傷からは血がどんどん流れ出して体温が奪われつつあるのか寒い。
私死ぬんだ。何処か他人事のように感じる。
けれど着実に死へと近づいているのは分かる。
脳裏に浮かぶのは田舎でまだ健在なはずの両親の姿、今まで自分が行ってきた忍務、忍術学園で過ごした日々そして学園で過ごした彼の事。そういえばあの子供どこか彼に似てた気がする。助けて良かった。
そう考えたのを最後に視界が真っ暗になった。
……私は目を開けた。
あれ?
私死んだはずだよね?
けど目を開けるってことはやっぱり死んでないの?それとも夢?
体は怠くて動かない。
きょろきょろと視線だけ動かすと私がいるのは和室で、その中央に敷かれた布団に私は寝かされているようだ。
人がいるか気配を探ろうとしたけど頭がぼんやりとして思うように探れない。
ここはどこだろう。疑問だけが浮かぶ。
「あ、目が覚めた?」
考えてるうちに障子を開く音と声が聞こえた。
考え込んで誰か来たのか気づかないなんて…。緊張で体が強張る。
入ってきたのは緑の衣に身を纏った茶髪の頬にそばかすがある少年。
私はその少年に見覚えがある…気がする。さてどこであったのか。
「そんなにおびえなくて大丈夫だよ。僕は君の味方だよ」
緊張がおびえたように見えたのか少年は優しく言いながら私の寝床へと近づく。
子供を諭すような言い方で、私の方が年上なのにとちょっと複雑だ。
少年は私の横へ座ると一緒に持ってきた救急箱を置いた。救急箱の中から包帯を取り出す。
「腕の包帯変えたいから布団めくるね」
断りを入れてから少年が掛け布団をめくる。
「腕持ち上げるね」
腕を持ち上げられ、視界に自分の腕が入った瞬間、頭が真っ白になった。
包帯が巻かれているが本来の私の腕とは違う、細くて小さい、まるで子供のような腕。
私は小さくなったの!?
分からないことだらけだ。
そうこうしているうちに包帯を変え終えてさっきとは逆の手順で私の手は布団に戻った。
「乱太郎。終わった?」
「うん。終わったよ庄左ヱ門」
黒髪に緑の衣を着た少年が部屋に入ってくる。
二人の少年のやり取りの中で出た名前に聞き覚えがあった。忘れるはずがない。乱太郎、庄左ヱ門は私の四つ下の可愛い後輩の名前だ。
よく見たら面影がある気がする。成長したね二人とも。なんて懐かしがってるバヤイじゃない。
小さな私と成長した彼ら
(どうしてこうなったのか誰か説明してください)
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