小説 | ナノ

うたた寝


眠たい。帰ったら寝てやる。

私の頭の中は睡眠をむさぼることしかなかった。

学校のレポートの提出が今日までで完成させるためにここ二・三日ほとんど寝ていない。

午前の授業はサボってギリギリまでレポートに取り組んだ。だってこの授業の単位取らないと卒業できないしそりゃ全力で取り組みますよ。

そのレポートもついさっき提出し終わった。その後も授業あるけど睡魔には勝てないから自主休講だ。

そんなこんなで今は帰りの電車の中。昼間の車内は通勤・通学時間とかぶっていないから人が少ない。

家に近い駅には一時間以上かかるから寝てやる。席も選び放題だ。

寝やすい端の席に座って壁に寄り掛かる。…うん、このまま目を閉じたら寝れ…る。





ポンポン、ポンポン。ツンツン。


…頭や頬に何かされている感覚で沈んでいた意識が浮上する。悪戯して安眠邪魔するのは誰よ。文句言ってやろうと薄く目を開ける。

「あ、やっと起きた」

私の目の前でうどん髪の奴が笑ってました。

「気持ちよさそうに寝てたね」

「…何で起こすのよ勘ちゃん」

ニコニコ笑う勘ちゃんにイライラしてしまう。安眠を邪魔されて機嫌が悪くならない人は殆どいない。

周りの景色を見るとまだ地元の駅には着かない。

「起こすつもりなかったんだけどただ名前に触ってただけだよ」

「それを邪魔っていうの」

「ごめんそんなに怒らないでよ。名前今日の授業もう終わり?」

「レポートの提出で寝不足だから自主休講」

「ああ。最近頑張ってたもんねお疲れ」

ぽんぽんと頭を撫でられる。イライラな気持ちが少しだけ治まる。そしてまた眠気がやってきた。

「また寝るの?」

私の様子に気付いた勘ちゃんが尋ねる。起こしたのはこいつなのに頭を撫でる手は着実に私をまた眠りの世界に誘う。

「…起こしたのはそっちなのに」

「それは悪いなって思ってるからもう一度寝ていいよ。着いたら俺が起こしてあげる」

「…うん」

まだ言いたいことがあったけど放棄した。



end
…消化不良。

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