小説 | ナノ

6〜三反田数馬の苦悩〜


こんにちは保険委員会所属、三反田数馬です。影が薄いとか言われるけど色んな人から相談受けたりして悩み相談所で地味に有名だからね!

「またやっちまったんだよ。絶対今度こそ完璧に苗字に嫌われた…!」

今日、僕の部屋にやってきたのは同級生で友達の富松作兵衛。彼の口から出た苗字さんというのは作兵衛の幼なじみで彼が絶賛思いを寄せている相手だ。

そして僕は作兵衛に彼お得意のマイナスの妄想を含んだ相談を持ち掛けられている。

作兵衛が言うまたというのは、苗字さんが笑った時に照れてそっぽを向いたことや左門達の捜索を手伝いを申し出てくれても喧嘩腰で対応してしまったとか色々だ。

「大丈夫だよ作兵衛」

嫌っているならわざわざ出向いて捜索を手伝ってくれたりはしないし、作兵衛が失敗だと思った後でも苗字さんは変わらず手伝いに来てくれるじゃないか。

そう言えば作兵衛は安心して少しは悪い妄想から抜け出したようだ。

それにとある情報提供者から苗字さんも作兵衛の事が好きだって知っているから嫌いになること事は絶対ない。

作兵衛も苗字さんも素直じゃないだけだ。

素直じゃないから裏返しの行動しか出来ずに悩んでしまう。すれ違ってしまう。

「素直に告白しちゃえばいいのに」

「こっ…!」

赤くなって固まる作兵衛。その後無理だ無理だと首を振る。普段は男前だとか言われてる作兵衛が好きな子に告白するのを躊躇する…素直じゃないのも困ったものだ。

「はい作兵衛時間切れ。僕この後約束があるから行かないと」

「そうなのか。悪い」

「いいよ。話くらいなら聞くからまた来なよ」

「ああ」

作兵衛は出て行った。そして少しするとまた同室の藤内と違う別の人物が入って来る。

「いらっしゃい」

そろそろ来るのは分かっていたから僕は驚きもせず挨拶する。。

「こんにちは。例の件今度の休みに実行することにしたわ」

苗字さんの同室であり友達でありそして情報提供者である彼女は悪い笑みを浮かべて言った。

嫌な予感しかしないんだけど…。

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