小説 | ナノ

照れながら寄り添って

「作兵衛!」

午後の授業がないからぶらぶら学園内を歩いてたら私服姿の作兵衛を見つけた。思わず声をかけたけど駆け足で急いでたみたいだから声かけないほうがよかったかなと少し後悔。

「ん、名前何か用か?」

止まって私の方に来てくれた作兵衛。律儀だよねそこが作兵衛の良いところなんだけどさ!

「用はないんだけど作兵衛見たら嬉しくて声かけました」

急いでるに呼び止めてごめんね。素直に謝る。

「急いではねぇけど…それより!何恥ずかしいこと言ってるんだよお前は!」

怒鳴る作兵衛。けど顔は真っ赤だから照れてることは丸分かりだ。

「だって本当の事だし。委員会終わったの?」

確か今日は用具委員会があると言ってたはずけど私服って事はもう委員会終わったのかなと思って聞いてみる。もしくは迷子捜索かな。

「まだ委員会中だよ。実はな…」

作兵衛の話によると委員会の予算が足りないので外部からの道具修理の依頼を引き受けてその依頼料を予算として使おうと考えたらしい。まず食堂のおばちゃんから教えてもらった金楽寺の和尚様の所に行くところだそうだ。

用具委員長が会計委員長と犬猿の仲で予算で揉めて大喧嘩してるのはくのたまの間でも有名だ。喧嘩を回避するためとか新しい道具買うために斜め上の発想していかないといけないのかな。…作兵衛苦労してるのね。

「修理で予算を稼ぐか。作兵衛いいと思うよ!」

「そうか!俺も良い案だなって思ったんだ!」

「じゃあ早く和尚様の所行かないと作兵衛」

一緒に行きたいなと思ったけど急いでるし一応委員会中らしいので自重しよう。

「名前一緒に行くか?」

「いいの!?」

「いつもなら私も行くって言うだろ調子狂うんだよ!」

「委員会中っぽいから一応自重してのに。けど作兵衛からのお誘いだもん行く!」

そう言って私は作兵衛の腕にしがみついた。



照れながら寄り添って
(おい、しがみつくんじゃねぇ!)
(作兵衛照れてる?)
(照れてねぇ!)



title by:ひよこ屋

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