小説 | ナノ

いたずら


暇を持て余していた私の前方に見覚えのあるくのたまがいた。

最近私以上に雷蔵と一緒にいるくのたま。確か名前は苗字だったか。

一度紹介してもらったが同年代のくせに臆病だ。ちょっと驚かしただけで声をあげて驚いて固まる。
忍をとしてどうかと思うが、からかいのある相手だ。

けれど暇潰しの玩具には最適だ。自然と口角が上がる。

雷蔵はこのくのたまをとても大事にしている。ばれたら絶対怒られるが悪戯にはスリルが付き物だ。

私が雷蔵といる時間をこいつが盗ってるんだ少しくらい悪戯しても罰は当たらないはず。

気配を殺し、早歩きで一歩ずつ近付く。変装は…伝子さんで決まりだな。

「名前ちゃん」

雷蔵の声色で雰囲気も雷蔵っぽく意識して話しかける。

「不破く…ん!?」

こちらを見た瞬間苗字は面白いくらいにピキッと固まった。なんともいえない面白い表情をしている。笑いが出る。

「何やってるの三郎?」

私と同じ声否私が使っている声。それもいつもの声より心なしか低く冷たい。

「雷蔵…痛っ!」

名前を呼んだ瞬間に頭に感じる痛み。

顔を雷蔵に戻して雷蔵を見れば怒ってるけど笑顔だった。これはかなり怒ってる。

「雷蔵」

「名前ちゃん大丈夫だよ。三郎の奴が馬鹿やってごめんね」

もう一度呼び掛けた私を無視して苗字の側に行き抱きしめ、落ち着けるためにか頭を撫でる雷蔵。

「二度とこんな事がないようにするから」

「ううん私が驚くのが悪いから…」

「いや三郎が悪い」

「不破君…」

二人の世界に入った雷蔵達。今のうちに…と回れ右で退散しようとしたら雷蔵がこっちを無言で見て逃げるに逃げれなかった。

くそっ無視されて揚句に雷蔵達のいちゃいちゃを指くわえて待ってろって事か…雷蔵の鬼畜!

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