小説 | ナノ

5〜彼女のバヤイ〜


私にしてはずーんと落ち込んでいた。

「何落ち込んでるの?」

落ち込んで部屋に戻ると私の様子がおかしいことを気にした同室であり友達がこっちを見る。

「…私やっぱり富松に嫌われてたのかな」

「は?」

「何で絶対ありえないって顔してるの?」

私真剣に悩んで落ち込んでいるのに酷い。

「そのままの意味だけど。…素直になれないコンビってややこしいのね」

「ごめん素直にの後なんて言った?」

ぼそぼそ話すのでよく聞こえなかったと言えば独り言だから気にしないでと返された。

「とりあえず落ち込むなんて名前らしくないわよ。こっちの調子が狂う」

ぽんぽんと頭を撫でられる。言葉に刺があるけど今の彼女は優しい部類だ。珍しい。それほど私は落ち込んでいるらしい。

「ちょっと寝る。夕飯の時間終わるまでには起こして」

「はいはい」

思考が落ち込むばかりだから寝ることにした。

次に起きた時には気持ちが浮上してることを祈って…視界を閉じた。

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