小説 | ナノ

4〜彼女のバヤイ〜


あれ?と次屋を引っ張り学園に戻っていると違和感を覚えた。

けど違和感の正体が分からないまま学園に到着してしまった。

「三之助お前どこ行ってたんだよ!」

正門には富松と彼に捕獲され縄で繋がれた神崎がいた。

「お、作兵衛どこ行ってたんだ?」

「それはこっちの台詞だ!毎回毎回迷子になるんじゃねぇこの迷子共!」

怒りながら富松は次屋にも神崎と同じように腰に縄をつける。

私の役目も終わりかなと次屋と繋いでいた手を離す。

「名前助かったありがとう」

ぶっきらぼうな言葉だけど彼に感謝されるのは彼の役に立てたことが嬉しい。

「どういたしまして」

「…っ」

富松にそっぽ向かれた。

手伝えば今回のようにそっぽ向かれることが何回もあった。

何で?やっぱり嫌われている?

「…じゃあ私行くから」

これ以上居ても悲しくなる。三人から背を向けてくのたまの長屋の自室に戻ることにした。

ほら告白なんか出来る状況なわけないじゃない。

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