現パロ | ナノ

こたつで七松さんと


「とーさまー」
「おー」
「あったかいー」
「そうかー」

ひさしぶりに戻って来た小平太に、凜ちゃんはおもいきり甘えます。
今も、一緒にこたつに入ってずっとくっついたままです。

「学校はどうだ?」
「うん、たのしいよー。このまえみんなとおにごっこしたのー」
「おお。どうだった?勝ったか?」
「うん!凜ひとりだけ逃げ切ったんだよー」
「すごいな凜はー!」
「だってとーさまのこどもだもーん!」
「そうだな!わははははは!」

小平太の足の間に座った凜ちゃんはそのまま小平太からがしがしと頭を撫でられます。
ものすごく髪の毛がぼさぼさになりましたがそんなことを気にする様子もなく、とても嬉しそうです。

「勉強はどうだ?」
「んー……本はすき!ちょうじがいつもよんでくれるから!」
「そうだなあ、ちょうじは物知りだしなあ」

にこにこ笑いながら親子の団欒は続きます。

小平太はたくさん凜ちゃんのことを聞きます。
自分がいなかったときの凜ちゃんを少しでも知ろうとしているのです。

「とーさまみかんー」
「はいはい」

小平太の大きな手が、いつもとちがって丁寧にみかんを剥いていきます。

「ほら」
「あーっ…うん!おいしいー!」
「今年のはとくに甘いらしいからなあ」

きれいに剥いたみかんの房を小平太は凜ちゃんの口に持っていくとぱくんと凜ちゃんは食べてしまいます。
おいしそうにする凜ちゃんを見て、小平太も笑顔になります。

「ほーらどんどんいくぞー」
「いけいけどんどんでばっちこーい!」
「その意気だー!」

剥いては食べさせ剥いては食べさせ……そしてまたおしゃべりをして。


そうこうするうちに、夜は更けていきました。


「うー……」
「凜、大丈夫か?」
「だい……じょうぶ、ですー」
「はは、眠そうだぞー」

小平太は笑って凜ちゃんの頭をまた撫でます。
さっきと違って、優しい撫で方です。

「こたつで寝るのは良くないから、ちゃんと布団にいこうなー」
「ううー……」

ぐずりはじめた凜ちゃんに、しょうがないなあと苦笑して――そのままごろん。

「うう?」
「よーし、今日は特別にぐだぐだするぞー」
「ちょうじにおこられない……?」
「大丈夫だって!それにちょっとだけだからなー!」
「…うん、えへへ」

へらりと凜ちゃんは笑って、小平太の胸にしがみつきました。

「とーさまあったかいー」
「こたつと凜でぬくぬくしてたからなー」
「ぬくぬくどんどーん……」

ぎゅ、と服をつかんだまま、ゆっくりと凜ちゃんは目を閉じます。
そんな凜ちゃんの首が痛くならないように二の腕で支えて腕枕をしてあげる小平太。


「おやすみ、凜」


とても優しい目をしながら、小平太も続いて瞼を下ろしました。







その後、長次に見つかって二人はとても怒られることになりますが……



「とーしゃま……」
「おおー、いけいけー」
「どんどんー……」



とてもいい夢を見ている二人には、まだわからない未来です。

prev / next
[ back to top ]