夢小説 | ナノ


02


私の上に落ちたのはくせっ毛の茶髪に頬に絆創膏を付けてるのが印象的な男子。歳は多分私と変わらない14歳くらい。男女で体格差があるから凄く重たい。

ぐえっと蛙が潰れたような恥ずかしい声は出さなくてよかった。
というより息苦しくて言葉を発するのが困難だったんだけど。

「うわっ、ごめん大丈夫?」

大丈夫じゃない。危うく内蔵が出るところだった。

「ほんとごめんね急いでいたから…怪我はない?」

彼は慌てて私の上から離れて私に手を差し出した。その手を握って私は立ち上がる。

衝撃でちょっと体全体が痛いが目立った所に怪我はない。

「大丈夫」

スカートに付いた埃をはらう。

「危ないから階段から飛び降りるのは止めておいた方がいいよ」

巻き込まれた方はたまったもんじゃないし私は大丈夫だったけど今度は相手が怪我するかもしれない。

「…今度から気をつけます」

注意すると彼は反省してしょぼんと少し俯いた。

その姿が犬や猫が耳を垂れて反省してる姿に見えて微笑ましい。

かわいい。

けどなんか子供を叱っているみたいで罪悪感が出てきた。

「反省しているのならいいんだよ。急いでいたんじゃないの?」

私がそう言えば彼は勢いよく顔を上げた。

「あ!そうだった!」

私に背を向けて慌ただしく廊下を走っていくが途中で立ち止まって振り返った。

「今度お詫びするから!」

「お詫びなんていいよ。気にしてないから」

「君が気にしなくても俺が気にするの!またね苗字さん!」

「あ、ちょっと」

もう一度断ろうとしたけど彼は行ってしまった。

事故だったし気にしてないのに…ってあれ?

「あの人何で…私の名前知ってたの?」

自己紹介していない。顔を見た限り知り合いでもないはずなのに。



knew
(君は誰なの?)

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