夢小説 | ナノ


01


私は絵を描くのが好きだった。

ご飯食べることより寝ることよりスケッチブックを開いて自分の好きなものを描くことが何よりも好きだった。

けど描けなくなった。

鉛筆や筆を握ってもいつもならすらすら描けるのにある日から筆を握ったら頭の中が真っ白になって手も思い通りに動かなくなった。

その日から毎日のように行っていた美術部を休んだ。描けないなら行っても無駄だと思ったからだ。

何日も休んだら放課後顧問の先生に呼ばれた。

「最近休んでばっかりだがどうしたんだ?」

美術部は週に最低一回通えば基本的に先生には怒られないのだが毎日行っていた私が急に何日も休んだから心配になったのだろう。

「…描けなくなりました」

好きだったのに今も好きなはずなのに描けなくなりました。

「それはスランプだな」

相談したら先生はそう答えた。

「苗字は毎日描きすぎたんだ。絵を描く事から一回離れて暫く他の事をしたらどうだ?きっと新しい趣味が見つかるかもしれないぞ?」

「他の事ですか…」

全然考えた事がなかった。

「部活は週1の部会に出てくれれば問題ないからな」

先生の提案は無断で部活を休むのが心が痛かった私にとって悪くない話だ。

描けなくなった事を後ろ向きじゃなくて前向きに考えよう。

絵を描く事は私の唯一の趣味だ。新しく他の趣味を探すのもいいかもしれない。前向きに考えよう。

「分かりました」

暫く休みますと先生に言って職員室を出た。

職員室から出ると廊下が夕焼けで赤く染まっていた。

今日は部会はないし鞄は持ってきていたので後は帰るだけだ。

下足箱に向かおうと階段を降りたら

「ちょっとどいてどいて!」

「え?」

後ろから切羽詰まった声がした。振り返ると青い服の人が私に向かって落ちてきた。避けれるはずもなく私はその人の下敷きになった。



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(つ…潰れる)

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