みかん箱 | ナノ

みかん箱


 pkmn (10/08)


目の前に現れて微笑む××にオーバは驚いた。髪の色が彼女のかつてのパートナーのシャワーズと同じ青色になっている以外オーバが覚えていたままの姿だ。
「××…なのか?」
「そうだよオーバ。私のこと忘れた?」
「…忘れるわけねぇだろ」
オーバの声は震えていた。体が思うように動かなくなるまで彼女の墓に行き写真も飾っていた。ずっと記憶や写真でしか見ることが彼女が目の前にいる。オーバは恐る恐る彼女に手を伸ばす。その手は年老いた手ではなく、シワがない若い手だ。不思議だと思ったが恐らく彼女と同じようになってしまったのだろうとオーバはぼんやり理解した。××の頬に触れる。体温を感じることは出来ないが、すり抜けたりすることなく触れた。
「くすぐったいよ」
「ここにいるんだな」
「いるよ。ずっと待ってたの」
嫌がるって思ったけど待ちたかったの。そう言う彼女は俯く。
「俺のことはきにしなくてもよかったのによ…」







***
「って夢見たんだ」って夢落ちにしたかった


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