小説 | ナノ

「こうやって擦りながらお前のこと考えてる。毎晩な」
 目の前には全裸で膝立ちになった幼馴染が自慰をしている姿。挙句オカズは自分だという告白。
「やべ……見られてると、興奮するな」
 どれだけ激しい喧嘩をしても息を乱さない承太郎が、肩を上下させるほどに呼吸を荒くしている。そしてたまに目を硬く瞑り、甘い声を上げて背筋を伸ばす。その動きに合わせて亀頭からカウパーがだらりと畳に落ちていった。
「公子っ……お前も、しろよ」
「……し、しない」
「どうすりゃいいのかわかんねぇのか?この辺りをだなぁ……」
 空いている左手でショーツをずらす。公子が悲鳴のような抵抗の言葉を放っていたが承太郎の耳には届いていない。それは、ずらしたショーツにまとわりつくように愛液が糸をつくっていたからだ。
「……すげぇ」
「見ないでぇ!」
「なんだよ、やっぱしてぇんじゃねぇか」
「ち、ちがっ……なんでこんななってんのか私も分からないの!」
「なんでってそりゃ……俺のこれをいれてほしいからだろ」
 これ、と言いながら先ほどから絶えず擦っているイチモツを持ち上げた。手を離しても腹につくくらいに反り返っている。
「触ってくれよ」
 その言葉に反応したのは公子ではなくスタープラチナだった。本体の呼びかけに応じるように、公子の手を取って近づける。
(いや、何で、手が……勝手に!)
 公子の指が睾丸をなでる。
「うっ」
「だ、大丈夫?」
「ああ……気持ち、いい。もっと触ってほしい」
「え……あの、ちが……」
 先ほどから何度違うと言っただろうか。それでも意に反して手は承太郎を求め、足は離れたくないと動かない。それらは全てスタンドのせいではあったのだが、唯一スタープラチナが触れていない反応がある。
(違う、のかな。本当に?だって、下着がこんなに汚れるまで、私……)
「擦ってくれ」
 今度は誰の手引きもない、公子自身の意思で動かした手が、竿を掴んだ。上下にゆるゆると動かせば、普段からは想像もつかない程に承太郎の表情が乱れる。愛おしそうに公子の髪の毛を撫でると、擦っているモノに近づけるように後頭部を引き寄せた。
「いやじゃなければ、舐めてくれ」
「そ、それはちょっとさすがに抵抗が……」
「ああ、無理にとは言わねぇ。だけど俺は、お前のを舐めてぇな」
「……お、お風呂」
「必要ない」
 今度は下着をずらすのではなく完全に脱がせる。プリーツの入ったスカートが頭の形に膨れ上がり、そこから卑猥な音をたてる。ピチャピチャ、などというかわいらしいものではなく、ずるずると、すするように。
「じょ、じょうた……ろ……強くしないで!」
 スカートの中から「悪ぃ」とくぐもった声がした。
 先ほどの反応で、公子が一番感じる部分というのが知識ではなく経験でハッキリと分かった。クリトリスがどこにあり、どの程度の強さで刺激をするとどうなるのか。
「公子も、手、休めるなよ」
 整った顔の上にまたがって座る形の公子は、催促されて手を前方へ伸ばした。自分の股を舐めれば承太郎の方は腹につくほど反り返る反応を見せる。それを上下に扱いてやればむずがゆそうに足がばたつくのが見える。
 普段はクールで硬派だと思っていた幼馴染が、獣のように女体に貪りつき、自分の大事な場所を露にすることに興奮している。こういうのが変態というのだろうと思いながらも、刺激を欲しがる承太郎に合わせてやる。
「一回、出しちまってもいいか?」
「え、あ、うん……」
「強く、早めに動かし……そうだ。ん……く……」
 腰が持ち上がる。上に乗っていた公子もそれにバランスを崩し、今まで遠慮がちに座っていた足が全体重を承太郎の顔にかけるように転んだ。自分の性器を人の口元に押し付けたことに謝罪をしようとしたが、それと同時に精液を噴出したモノを見てその必要はないのだと悟る。
 うーうーと唸るような声がするたびに微弱な振動が公子を刺激する。自分の体液と承太郎の唾液でべとべとになった部分を拭くこともなく、急いで下着をあげて部屋から逃げ出した。
 もうスタープラチナで捕らえているような余裕はない。射精の余韻に頭をぼんやりさせながら、また一つゴミ箱にティッシュを増やした。

 明日からは冬休みだ。顔を強制的に合わせる必要もない。しばらく時間を置けば、この夜の過ちはきっと風化されるという淡い期待を持って、公子は自宅の風呂に入った。風呂場で下着を下洗いしてから洗濯籠に放り込む。
 自らの秘部を洗うために手をやると声が漏れ出しそうになる。先ほどのことを思い出せば、洗った後から次々に体液が流れ出すようで、公子はその終わりのない妄想を断ち切るべく承太郎に舌で弄られた部分を指先で丁寧に洗っていった。


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