ようやく三成が起き出した頃、なまえはすでに家にいなかった。
机の上にはいつものように作られた食事と、見慣れない紙が一枚。
「………」
今日は友達の家に泊まります。
ご飯は作ってあるので、暖めて食べてください。
なまえ
そう簡単に書かれた手紙を三成は思わず握りつぶした。
なまえがいない、それだけの事がひどく三成を苛つかせた。
▽▲
少し大きめの荷物を抱え、なまえは家康を待っていた。
そんななまえを遠くから見つけた家康は首を傾げる。
何やら眉を下げ、不安そうな顔を伺い知る事が出来たからだ。
家康はなまえの元まで走った。
「どうしたなまえ、泣きそうな顔をしているぞ」
「い、いえやすぅうううっ」
荷物を放り投げ抱きついてきたなまえを、家康はよろけずに抱き止めた。
ぐずっと鼻を鳴らしたなまえを見て、つい苦笑いをしてしまう。
それからぎゅうぎゅうと抱きついてくるなまえの体を引き剥がした。
放り投げたままの荷物を左手、右手でなまえの手を握るとにっこり笑ってみせた。
「とりあえずワシの家に行かないか、話はそれから聞こう」