どうしたものか。
思わずわたしは溜め息をついた。
右隣には機嫌よさそうにふよふよ浮いている吉継。
「また三成に何か吹き込んだでしょ」
「親切心から教えたというのになあ。やれ、傷ついたキズツイタ」
「嘘だ」
「嘘じゃなかったら三成が家康のフード裏返しにしてる訳ないじゃん」
視線の先にいる三成は家康のフードを裏返してかなりご機嫌だ。
あ、あの子ったらご丁寧に安全ピンでフードとパーカーくっつけてきたな。
「見ろなまえ、家康の無様な姿を!」
「ああ、うん。楽しかった?」
「安心しろ、次は貴様にも役割を与えてやる」
「アリガタキシアワセ」
これがわたしの日常だ。
三成は吉継の変な入れ知恵で家康をいじめるし、家康は毎回心に大打撃を受ける。
それからわたしはというと。
「なまえ、貴様は馬鹿共を止める事も出来ぬのか」
こうして左隣の元就に怒られる羽目になる。
あ、吉継あの野郎。今笑ったな!
「使えぬ輩め、お守りくらいは果たしてみせよ」
「無理難題を押しつけないでよ、あんたはかぐや姫か!」
「…貴様ッ」
一際愉快そうに吉継が笑う。
元就の抱き枕に往復ビンタを喰らう前に逃げよう、そう思ったわたしの手を三成が取る。
「次は奴の机上をみかんの皮だらけにするぞ、手伝え」
「みかんの無駄使いはいけません!」
「………後で食す」
「嘘言わない!三成はいつもそう言って食べないでしょっ」
吉継の手の中にあったみかんを奪って口に放り込んだ。甘い。
「お、みかんじゃないか。なまえ、ワシにも一つくれ!」
タイミング悪いなコノヤロウ、とか思いましたよ。
そんな空気読まない家康にみかんを渡した瞬間だった。
「家康ゥウウゥッ!」
三成が思い切り家康を殴った。
みかんを持ったまま。
ぐしゃり、と潰れる音がした。
未だに握られたままの手がギリギリと音をたてる。強く握りすぎです、なまえちゃんの手はもう折れそうです。
「騒々しい!貴様らは童か…ッ」
そして、更に元就の抱き枕で有り得ないくらいのダメージを喰らった。
結論、わたしは毎日激戦区を生き抜いています。
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神埼ちゃんリクエスト
なんか不完全燃焼…
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