嘘つきな僕ら



「助けてって、…どういうことっすか」

涼太君の心配そうな目差しは暖かいまま、私を捕らえていた。

あたしはぽつぽつと今までの経緯を述べようと、思った。




だけど。





「だいっ、じょうぶ!!ただ仕事で大きなヘマやらかしただけっ、だからね!!」



口をつくのは嘘つきな言葉。
嗚咽や多少ひきつった表情を笑顔に、普通に。
精一杯自分でコントロールできるように。
口をつく嘘八百。ブラフ。はったり。
これは、個人的な問題なんだから。自分で解決しなきゃ。

そう思ってしまった。
強がりなのは重々承知の上で。
それでもこの人には迷惑をかけたくないんだ。



「そうっすか…それは大変だったッスね…」



そういって頭を撫でる黄瀬君の手の暖かさ。
さっきまでは心地よく感じていたのに、なんでだろう
胸が苦しいのです。







またか。そう思った。
この人は、霊華っちはいつだってそう。
本当の事は自分一人で抱え込んで、迷惑をかけることを避ける。
女友達には多少なりとも頼っていた記憶はある。
だけど、ことさら俺が絡むと頑なに一人で抱え込む


ポーカーフェイス、バレバレッスよ。


こんな時、俺はいつも騙されたふりで場を潜り抜けるのが大体だった。
だから、



今回も騙されてあげるッス、霊華っち。



<嘘つきな僕ら>





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