プロローグ



近年日本で患者が増え続ける、『認知症』。
重度の認知症となると、徘徊や夜間譫妄などの問題行動を引き起こす可能性が高い。また、自分のことや時間、さらには周囲の人々や家族についての記憶が曖昧になってしまい、一般的な生活を送るのは困難と思える。


そんな中、彼らを支えるのが、介護者である。
流動性の気質の欠落や記憶能力、身体能力の低下した、比較的重度の認知症患者には大抵身内や老人保険施設等のヘルパーなどが介護、生活の手助けを行うことが主だ。

しかしこの仕事には身体以上に、精神的ダメージ、負担がかかる。
想像してみてほしい。
自らの母に、面と向かって母の姉の名前で呼ばれる風景を。
いくら慣れがくるといえど、多少なりとも呼ばれた時にはショックを受けてしまう人が多い。
介護者達は、それに堪えて、自らの身内の為にその苦しみに耐える。
少しずつでも病状の回復を目指して。


だけど。あたしには無理だったんだ。



介護でずたぼろになった、お祖母ちゃんっ子な女の子と黄色い彼の、大人で子どもな話。




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