ひとつ屋根のした




涼太君の家に着いてからというもの、光の速さで時間が流れ去っていく。


一緒にご飯を食べた。
涼太君の料理の腕はそこまで良い方、とはいえず、細かいところで色々危ないことをしでかす事もわかり、作るのはあたしの担当にしてもらった。だって、シチューに牛乳じゃなく生クリーム入れようとするなんて、危ない。やはり危ない。
涼太君の家に厄介になる身としても、健康的な生活を送りたいと願う人間とししても、この役目はあたしに譲ってもらわなければ困る。これは生命の危機を脱する為の人間の発作的察知能力だと思う。

出来上がった本日の晩御飯は、自分で言うのもなんだけどとてもいい出来で、なんだか美味しかった。





一緒にお話をしあった。
あたしはお祖母ちゃんのこと以外の仕事とか昔の話、涼太君も大体仕事等のことを話して、笑ったり怒ったりした。
涼太君は今も変わらず女の子に付きまとわれて大変だとか、ホントの俺を見てくれるのは霊華っちだけっすーとか。これだからイケメンは。
金髪で栗色の大粒な目で背が高くてバスケできてその上可愛いのだ、とこれは我が職場仲間の「芸能人の黄瀬涼太」への感想。
本当はもっと弱くてでも頑張れる凄い子としてあたしは見て欲しいけど。


交互にお風呂に入った。
あたしが先に入らせてもらったけど、浴槽は広くて綺麗だった。ゆったり入って、よく考えてみた。お祖母ちゃんの事。これからの事。
でもうまくまとまらなくて、グチャグチャしたままあがった。
あがったよ、そう伝えにリビングへ行くと、涼太君は数瞬固まったのち、返事をしてお風呂場へ駆けていった。
これが照れ隠しだなんてあたしは知らない。

涼太君が今まで通り、家でも態度を変えずにいてくれるおかげで、あたしは安心してすごすことができた。
気がつけばもう夜0時を回ってしまっていた。
お互い明日からも仕事があるので当然ある程度の睡眠は必要。そんな訳で、寝室へ別れる時が来たようだ。

「じゃあ、おやすみ」

「ん、おやすみっす!!」

お互い久々に口にするであろう言葉を投げ掛け、別れていった。
隣に並び合う2つの扉の先に待つベッドへ、吸い込まれるように倒れ込む。


そしてあたしは考える。
これから自分達はともに生活していく中で一体どうなるのか。貴方は、私は、どうなるのか。
眠たくて堪らないはずなのに、何故だか眠れない。
こういう時、おばあちゃんと一緒ならおばあちゃんの布団に潜り込んだなあ……いや、ヤツはおばあちゃんとは別種。何を思って夜這いのような行為を犯してまで……


「……あ、の。涼太君、一緒に寝ても、いい?」



睡眠欲を取った





<ひとつ屋根のした>



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