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  爆弾発言

なんというか。
高校に入って、学校生活にも慣れ、メモで筆談にも慣れてきたけど、この頃少し問題が発生した。
それは『早さ』。メモだとどうしても相手の言葉への返信に幾らかの時間がかかる。
仕方ない、仕方ないと思ってはいたのだが、この頃ある日のせいでそうは思えなくなった。
青峰君…大輝君のことだ。


彼はあたしのことを気に入ったのか知らないが、結構な高確率で話しかけてくるようになったのだ。
あたしは彼と一緒に話したり、ふざけたりするのはどちらかというと大好きだ。
大輝君はガングロだし厳つい感じもするけど、話していたらホントは凄く優しい人なんだろうなって思えるようにもなった。


そんな大輝君との会話は、普通の皆と比べて結構スピーディーだ。
理由は簡単。あたしたちが興奮して話してるから口調が早くなるから。内容として、テレビとか、学校の先生だとか、あとバスケの時は異常にお互い早くなるから不思議。
といってもあたしはペンを通じるからそこまでのスピードは出ず、大輝君を待たせることになってしまう。
それはそれで大輝君もちと嫌だろうし、あたしだって早く喋りたい。声さえ戻ってくれば楽なのだけど。


そこであたしは、新しくスマートフォンを買おうかなと思った。今のガラケーでも別に不便はそこまででもない。けれど画面が小さいと読みにくいし、何よりスマホに変えるいい口実にもなる、という理由も少しは入っている。


ということでスマホを買いに行くことにしたーと大輝君に筆談で言ってみると、あちらからは

「ふっ…俺は既にスマホデビューしたぜ!!」

そう言ってあたしにスマホを見せつけてきやがる
……なにかな大輝君ドヤ顔かな?
多少の羨ましさとイラつきが心に生まれたのは言うまでもないだろう。
しかし大輝君がスマホとは……あ。

『スマホ買うとき、気を付ければいいことって何かあるかなぁ?』

ちょっと気になったので尋ねてみた。すると大輝君はうーんと少し考えた後、めんどくさそーな顔になった、かと思えばいきなりパァッと笑顔になった。何これ百面相?大輝君はあたしの手をとって、

「言い表すのムズいから、俺が一緒に行ってやる!!」

頭をわしゃわしゃ撫でた。……え、これ、爆弾投下しやがったぞコイツ。
つまり、つまりつまり。大輝君と二人で買い物…すんの…!?
お、男の子と二人でお買い物…うわああああ…

「?どした?」

顔が火照るのがわかったあたしは咄嗟に机に俯せた。それを大輝君は体調が悪いと取ったようで、伏せたあたしのおでこを触ってきた。いや待ていや待て今そんなことしないでええええ

『何でもない!!何でもないから!!』

と返すと、あっちはそーか?と言いつつ手を離してくれた。何この子心臓に悪い…。
とりあえず、少し落ち着いてから、いつ買いに行くかを具体的に決めていった。その結果、今週の日曜日ならバスケ部もオフだそうで、大丈夫らしい。
内心、何着て行こうかなぁとか考えてた。


んじゃな、って言って、今度は男子の集団へ向かっていく大輝君。こっちの気もしらないで…。



それと同時に、あたしの方に女の子が何人かやって来た。高校で友達になった木之瀬來未、クミ。花見葵、あおい。野々原雪、ユキ。三人とも凄く可愛くて、特にクミなんて男子から何人も告白されて、それでもフッてるくらいだもの。
クミはその可愛らしい顔の横でサイドテールを揺らしながらあたしにいーなー!!と言ってきた。
クミやあおい、ユキは『キセキの世代』の大ファンなのだ。彼らはバスケもできてイケメンな完璧集団なので、ファンも凄く多い。全校女子生徒のファンクラブ人口は異例の70%とまで言われているらしい。
そんな中でも女子は2つに分かれる。《遠目から見つめる》か、《ガンガンアタックする》か。彼女らは断然後者である。だがあまりにも人数が多すぎて見向きもされない、と以前嘆いていた。


「霊華いーなー!!あの青峰君とデートとかー
青峰君が女の子と買い物とか、桃井以外初めて!」


デートという言葉でまた頬が上気するのがわかり、ブンブン首を振って否定する。

『ちっ、違うってぇ!!』

「まーまー、謙遜しなさんな!!」

彼女達はキャーキャーとそのことでひとしきり盛り上がった後、あとでどーだったか教えてね〜とか言いながら席に帰って行った。
嵐みたいな子達だなぁ。ちょっとだけ疲れる…。

あの子達が大輝君目当てにあたしに近付いてるのは知ってる。んでもってあたしのことホントは気に入らないのもなお知ってる。いつかはイジメとかにも発展したりすんのかな。面倒なこった。

あたしはふぅ、と息をついて、また日曜日に思いを巡らせた。
3つの視線には気付かないフリを続けて。


「あのバカ、あたしらが呑気に見てるとでも思ってるのかしらね。」


キセキの世代のファンクラブには1つの汚点がある。それはメンバーほとんどが嫉妬深く、自分の推しメンに過剰に近付けば、ターゲットとされる。
そして霊華も恐らくこれ以上いけばこの3人以外からも…



<爆弾発言> 何着ていこうかな。







 
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