Crown Flowers | ナノ
夏の月<番外編>
7月の末、明日から夏休みが始まる。
毎日バスケが出来る素敵な期間だ。楽しみでしょうがない。
だがその前に今日はやるべきことがある。
「大掃除っすかあ!?」
部室と周辺の大掃除、そのために今日はまだ明るいには明るいが練習後の6時半にメンバーを集めた。最近特に汚れが目立ち始めたため、顧問から流石に掃除をしろ、との話をうけたのだ。たかがバカな大人風情の言うことを聞くなんて癪に触るけれど、すれば専用体育館のうちの1つを譲ってくれるとのことだから致し方ない。
とは言うものの、バスケ部全員、となると部員数は半端なく多いから、僕たちキセキの世代、さつき、霊華といういつものメンバーだけだ。
「専用体育館でバスケが思いっきり出来ると思ってやれ」
最初はみなブツブツ文句を溢していたけれど、この一言で素直に掃除の準備を始めてくれた。
さて、そういえば担当を決めていなかったなと思い出す。下手に勝手に決めるとなあ…
するとあちらも勘づいていたのか、さつきがおもむろに紙切れを取り出した。
「これでくじ引きをして、担当決めようよー」
なるほどこれなら恨みっこなしだ。
流石さつきだ。そう感心しながらくじに手をかけた時、視界に青峰がうつりこんだ。青峰はちらりと霊華を横目にこっそり見た後、真剣にくじを選び始める。
この反応から考えて、青峰は彼女へ興味を持っているのだろう。恋愛的な意味で。
ならまあ同じ担当になれればいいものだな。そんな軽い気持ちで他人事のように彼へエールを送り、僕はくじを引いた。
色は僕と同じ、赤色。ぐるりとメンバーの手元を確認した結果、担当箇所は部室。残りのメンバーは
『よ ろ し く』
至近距離で口パクをかますマネージャーだった。
青峰の悲しげな表情に目をそらしたくなった。
『汚れてるねー』
彼女は時々僕へメモを見せ、雑談しながらお互い掃除にせいを出す。床はまだいいがロッカーの中のホコリやら果てには青カビやらが繁殖して酷い有り様だ。
しかし彼女は手際がよく、汚れたロッカーもみるみる綺麗になっていくので見ていて気持ちがよかった。
「霊華はいいお嫁さんになれるな」
掃除も一段落して、僕が持って来ていたドリンクを飲み、彼女の持っていたクッキーを食べながら皆の掃除終わりを待つ。
サクサクという音を、部室の窓から入り込む月の光が吸い込み消していく。夏の月の放つ淡い光が視線の先の霊華を明るく照らす。
彼女には不思議な魅力がある、そう感じる。
こんなに月に映える女性は、初めて見た。
月夜の美人には気を付けろ。そう誰かから聞いた気がする。本当にそうだ。現に僕は彼女から目が離せないし、動悸が早まっている。
月に映し出された彼女に僕は
「あ"ー、終わったぞ赤司ぃー」
「うわー!!霊華ちんの持ってるクッキー美味しそう!!ちょーだーい」
そこでぞろぞろとメンバーが部室へと入ってくる。一気に騒がしくなる部室で、月の光は彼女へと届かなくなる。
けれどそれでも彼女は
美しいままだった。
<夏の月>
あとがき―――――――――
どうも管理人ですー!!
リクエスト小説第2段、楽しんで頂けたでしょうか?
今回は赤司様とCrown Flowersの夢主ちゃんの番外編というお題のもと、書かせて頂きました〜
リクエスト主様
リクエストありがとうございました!!m(__)m
このようなお話になりましたっ
こんな形式でよろしければ、またいつでもリクエストしてやってください♪
ではでは