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  異論は認めない


空気の冷たさを感じる。



今、赤司はなんて言った?
こいつを…霊華をバスケ部に入れるっつったか?
んなアホな。只でさえ俺ら男子バスケ部は俺ら目的で入部しようとしやがるバカ女どもの対策として、女子マネージャーの募集停止を決定、実行している。
しかもこの案を出したのは他の誰でもない、赤司本人だったんだから。


「……なるほど。」

唐突に黄瀬が声をあげた。

「バスケ部に引き入れることで、女子どもから逆に守る、ってことっすね。」

「そういうことだ。それに霊華は……今声が出せないけれど、元々はプレイヤーだ。しかも…」

そこでさつきがあっ、と小さく声を出し、パタパタと霊華に近づく。
ビクリと跳び跳ねた霊華とは対照的に、さつきの表情は、笑顔だ。しかも興奮が混じった、そんな笑顔。

「藍野……藍野霊華さんですよね!?加宮中でガードだった!!」


その少し早口な問いに驚きつつもコクコクと首を振って答える霊華。
加宮中…いや、待てよ加宮中っつったら…


「うちの女子が全国大会準決勝で毎回当たっていたあそこだ。」




―霊華side―

いきなり桃色の髪の女の子が飛び付いてきたからちょっとビックリしたけど。
あ、中学の頃の話か。県外の高校に来たのに、知ってる人は知ってるのか。


あたしが所属していた加宮中学女子バスケ部は、強豪と呼ばれはするけれど全国の地での優勝は経験がない、そんなチームだった。
だって、帝光中がいるんだもの。



あたしの肯定の意を看取った桃色さんが凄い笑顔であたしの両手を握って、なんと抱き締められた。


「赤司君!!凄い逸材を見つけたんだね!!」


むっ、胸で苦しいです桃色さん!!窒息する!!窒息するうっ!!!?


「しかも藍野霊華選手、っていったら、うちのキャプテンには劣るかも知れないけど、某月刊バスケ雑誌の月間MVP常連プレイヤーじゃない!!!」


よ、よくご存知で……そろそろ死にそう。
体がぷるぷるしてきた。

「へえぇ…霊華お前スゴかったんだな
てかさつき、そろそろ離してやれや」

「なんで早く紹介してくれなかったのよ大ちゃん…あ、ああああああ藍野さん大丈夫!?」


バッと解放される。肺に取り込まれた新鮮な空気が美味しすぎて涙が出る。
死ぬかと思った。何カップですか桃色さん……。


《大丈夫ですよ桃色さん》と筆談で返すとほっとする桃色さん。
あ、桃井!!桃井さつきだよ!!とついでに自己紹介されてしまった。
赤司君を見ると、少し満足げな感じがする。

「……これで霊華のマネージャーとしての入部を嫌がる者はいないな?」



この問いに首を振る者は、いなかった。





<異論は認めない>
彼に抵抗などできない




 
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