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  何で



どういうこった。何で何で何で何で何で何で



「何で…っ」


背中にかかる霊華の荒く苦し気な吐息は俺の心音と焦りを加速させていく。
意味わかんねぇよ、何だよ何だよ何で……
何で霊華がこんなボロボロになってんだよ…
何でこんなことになってるのか、理由は大体察しはついてる。俺だ。
俺がさつき以外の女子にここまで仲良くするのなんて久々…というか初めてかもしんなくて
それをあれだ、「藍野って青峰君に馴れ馴れしいよねぇ〜、マジうざ」てかんじに取るクラスの女子供がいるからなぁ
黄瀬は、「女の子は焼き餅焼きッスからねぇ〜。青峰っちも結構妬かれてるって意識しといた方が身のためッスよ?」とかなんとか言ってたけど、こーいうことか



俺が見つけた時のアイツは、とにかく酷い状態で。
額から流れた血は霊華のさまよう視線を塞ぎ、鼻先まで流れを止めず、赤い川を腕にも足にも作り出す。その鮮やかな赤とは対照的な青白い顔。薄い唇は紫に染まり上がり震えていて。
そしていつもはふわりとはためく制服はずぶ濡れで、彼女の歩いてきた道筋を青い水が示していた。


「霊華…………!?」


気づいてすぐ、咄嗟に体が動いていた。
脊髄反射ってやつは凄い速度なようで、異様なスピードで俺は霊華との距離をぐんぐん詰める
なんだかアイツが、霊華が、すぐにでも消えそうな気がして。

「ーーーっ…大丈夫か!?おい!!」

体育からまだみんなが帰ってきていないのをいいことに大声で叫ぶ。冷たい。凄く冷たい。

やるべきことは、わかっている。
霊華を抱えあげ、背中に負う。
血が付くのなんて気にならなかった。ただ気になったのは、アイツが凄く軽くて軽くて、ふわりと浮いてしまいそうだったことだけ。


保健室までの道中、俺はずっと全速力で走ってた。けど到着までの時間は距離と反比例して、とってもとっても長く感じたんだ。


保健室にはいつも通り先生が…いなかった。
ガランとした生暖かい部屋に、俺の荒れた息と足音だけが響く。なんだか、虚しい。
とりあえず、備え付けのベッドに霊華を寝かせて、ベッドのカーテンを閉める。ぬれているままではマズイのはわかる、だけど俺が脱がせちゃダメじゃん…いやいやいや…
なんて悶々としてたけど一応コイツの為にも…脱がせた。いや、上着だから。上着。
その状態で霊華に布団をかけ、俺は隅に置いてあったパイプ椅子をひこずってくる。


椅子に座って霊華をぼうっと眺める。
んでもってぼやーっと頭を撫でる手が伸びていた。無意識で。
冷たい冷たい霊華を撫でて撫でて、少しでも暖めたくて。


「んっ…ぁ…」


思わず手が止まる。
その声の主、目の前の彼女は薄く目を開いていて
ホッと、した。
と共に、今まで押さえられていた怒りが沸き上がってくる。


「大丈夫か!?誰がやったんだよ!!ぶっ殺す!!」


何でだろうな。怒りを越えて泣きそうだわ。
自分の大事な大事な友人に手をあげたクソヤローを早く殴り倒したい衝動にかられる。
握った拳はワナワナ震えて止まらないんだ。
ひやり、俺の拳に冷たい感触がした。
アイツの小さな手がやんわりと俺の拳を包んでいて
口元は「だ い じょ う ぶ」とゆっくり動いて

「だけどよ…っ」

尚も止まらない俺を今度は、弱々しく、でもしっかりと抱き締めて
怪我人の前で泣きそうになった。


しばらくたって、霊華は俺を解放してくれた。
よくよく見ると顔色もどんどん悪くなっているのがわかる。
とりあえず俺に出来ることをしよう。
傷口の消毒、包帯、荷物を取りに行く。
これくらいしか出来ないけど。


チャイムが聞こえる。これから部活の時間だろうけど今日はサボってやろう。
赤司のヤローには後でテキトーに言っとこう。
今日は、コイツについといてやろう。


<何で>






 
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