幕間1
そして、ロゼッタは半ば強制的に魔族の国アスペラルへ向かう事となった。
アルセル公国とアスペラルは接しているものの、国交は当然ない。アスペラルに入るには、山道を歩いて行くしか方法がない。シリルを先頭にロゼッタとアルブレヒトは山道を黙々と歩いていた。
「……ところで、シリルさん」
「何ですかロゼッタ様?」
「その、様付け止めて貰えませんか……恥ずかしいというか」
慣れない様付けを今日一日で何度も聞いたが、やはり訂正しておきたかった。立場上は多分ロゼッタの方が上なのだろうが、今まで村娘として暮らしてきた彼女にはあまり関係の無い事。
様付けより、普通に呼んで欲しいという気持ちがあるのだ。
「ですが……」
「……仕方の無い事。ロゼッタ様はロゼッタ様」
「えっと、アルブレヒト……さん、も止めて欲しいんだけど」
「無理」
きっぱり言い、首を左右に振るアルブレヒト。表情が読み取り辛くて何を考えているのか、彼女にはイマイチ分からない。
すると、シリルがロゼッタに声を掛けた。
「何ですか?」
「アルブレヒトはロゼッタ様より年下なので、さんはいらないと思いますよ」
「え……?」
こくりとシリルの言葉にアルブレヒトは頷いているが、ロゼッタはそれ所ではない。彼がロゼッタより年下だという事がかなりの驚きだった。
ちなみにロゼッタは今年で十七歳である。それよりも年下ならば、アルブレヒトは十六歳以下という事になる。
「ちなみに、何歳なの……?」
「……十五」
「嘘……?!」
同じ位かと思ったが、予想外にも二つ下。正直二つ下には見えないな、というのが感想だった。
ふと、ロゼッタはシリルに目を止める。
「シリルさんも意外と十代って事はないですよね……?」
「ははは、まさか、流石にそれはありませよ。私は今年で二十六です」
(二人の歳の差……十一……)
どうやらこの二人は予想外の凸凹コンビの様だ。
幕間1end
(14/15)
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