バルバッド編



したのか?ジンが宿っているだろうその花瓶と思っているだろう器にしたのか?という思考しか考えられなくなっている周りを置いてけぼりにナマエの話はどんどん続いていく。


「さすがの私も決意はしたものの、中央でするのはどうかと思ってさ、物陰へと移動するべくその花瓶を手に触れた瞬間に花瓶が光りだしてさ、あの時はマジビビったし」


ドッキリだと大成功というくらいビビったわと言うナマエに一同は良かった!していなかった!という安堵が彼らを襲ったのだった。


「どうしたアリババ。髪の毛が抜けてるよ?禿げるの?」
「ハゲませ…いや、ハゲそうでした」


もうホントどうしてナマエさんは、想像の上を軽く行くのか、俺のツッコミじゃ追いつかないよとブツブツ呟くアリババを近寄ったら不幸になりそうだと思ったナマエは一歩下がって見つめていた。



それでもナマエの回想は続く。

現れたジンをチラッと見るが、ナマエは今の優先順位からしてすべき事があるのですぐに自分の手元にある花瓶へと視線を向けたと同時にジンが口を開いた。


「王になるのはお前か?」


ジンの大きさからも相まってか上から目線の言葉を受けるが、ナマエは何言ってんのコイツといった目で見つめ返すと、何ともいえない間があいた。
ナマエを見つめていたジンが更に珍しい人間だと口にすると面白そうに笑みを浮かべた。


「面白いの。誰にも囚われない心に我が道を貫く信念か。だが惜しいな。新たな試みとして取ってみても構わないけれども、それでもまだお前には王の器とは言えないわね。王候補にはなれぬ」


楽しそうに語るジンにナマエはどうでもいいですと切り返した。


「今私がなりそうなのは王とかじゃなくて膀胱炎ですから」


手に持っていた花瓶を揺らしながらナマエは用を足す用があるからゴメンね。後でちゃんと絡んであげるからと言って出て行こうと踵を返すとジンがナマエを止めた。


「女、ちょっと待て」


その言葉に軽く内またになりながらナマエは無理だって、結構限界間近なんで、ホント用だけ済ませてから頼むわと早口ながらに訴えるのだった。


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