バルバッド編



殴られ覚悟で、ナマエの話が分からなかったのでもう一度言って欲しいと頼むアリババに、一回で分からないとかお前バカだっけという目を向けられながら、しょうがないなというナマエに理不尽だと分かっていても何も言い返すことをせずアリババは話を促した。
他の人も今回はちゃんと聞こうと心得ながら耳を傾けた。


「だから簡単に言うとね、世話をしてくれた生物たちに甘えてここに住んでもいいんじゃねと思い始めたが、少し時間が経つと緊急事態が発生したんだ」
「ジンが現れたんだなナマエさん!」
「いや。トイレに行きたくなった」
「そっちぃぃぃ!!」
「生理現象だからしょうがないよ。アリババお前も迷宮だっけ?行ったでしょ?行きたくならなかったの?途中でしたくなったでしょ。つーか、行ったでしょ」
「そこは触れちゃいけない場所だから黙秘します」
「で、トイレに行きたくなった私はトイレを探したんだけど、どこにもなくて困ったのよ」
「そうですね」
「で、一際目立つ建物が目に入って、ここにならトイレあるんじゃないかなぁって思って建物に入ったのだけど、ガラクタと変に広いだけの空間で結局その建物の中にも見つからなくって…」


もう、一つくらいあってもいいのにねと言うナマエを適当にそうだねと相槌を打ちながらきっとそこが宝物庫で、ジンが眠っている場所だろうと迷宮を知っているものは理解していた。
そして、偶然ながらもそこにナマエが入ってジンと出会ったのだろうと想像できた瞬間だったが、それも一瞬だった。
次のナマエの言葉でその出会っていた想像を吹き飛ばすのだった。


「でもほら私も一応女性だし?そこいらでっていうのは誰も居ないからといってもね、ちょっと自分を奮い立たせることが出来なくて、でも我慢も出来なかったから目についた花瓶っぽいのがあってさ」
「え?花瓶?っぽい、の……」
「そう。その花瓶を見て私は無意識に呟いたのだ。コレ使えそうだな。使えるんじゃね?と」
「いや、その、使うって…マジで?」
「すぐさま自分の中の私は使えると答えを出すと同時に、私はその花瓶を手に取ってその中にすることにしようと決意したのさ」
「「「!!!?」」」
「え、ちょっ、待ってナマエさん!」
「何さ」
「その、まさかですけど、その花瓶って部屋の中央に置かれていたりしませんでした?」
「そうだよ?いい大きさだったからと思ってね」


ウンの方じゃないから良いかなって思ったから。やだぁもう、このカミングアウトは恥ずかしいなぁと恥ずかしげもなく話をするナマエに迷宮理解者組はもしやと徐々に顔を引き攣らせていく。
あのジュダルさえも、目を見開いては瞬きさえも忘れたかのようにその状態まま、まさかと言いたげな顔をしてナマエをガン見していた。


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