幼少期編


他にはないのと聞かれたナマエは、そうだなぁ…あ、ここじゃイマイチだったけどさ、私のいる街じゃねどんなピンチな局面でも、「マジで超ヤバいし」とか「アレだしアレ。え、マジで!!アレだけど、アレ知らなかったりする?いや、別に知らない人も中にはいるし別に気にかける必要なんてないよ。で、マジで知らない系?」とか言っておけばなんとなく一時的に大抵の事は乗り切れるよとどこか自慢げに言い切ったナマエにアリババはすごいねとしか言えず、カシムはナマエみたいなのがいっぱいかよと、呆れられた視線を向けられた。


「バカヤロー。なめんなよ。私より凄いやつたくさんいるんだからな!私より絡みづらいやつなんて盛り沢山いるんだからな!こっちの話を一切聞かないで自分の事ばっかりのやつなんて山盛りいるんだからな!!」
「いや、絡みたくもねぇし」


いつの間にか、いつもの様にどうでもいいような話に花を咲かせていたが、マリアムが戻ってくる前に終わりは突然やってきた。
ギャイギャイ会話をしているとナマエの元に紙がヒラリと一枚落ちてきた。
手に取り、何々と紙を見るナマエの後ろから覗くアリババとカシムだったが、二人は頭にハテナを浮かべた。


「読めない」
「なんだコレ。文字か?」


などと呟く二人に対してナマエは、コレは私の世界の文字だと言って読み上げていく。


「えっと『こちらの準備も出来たのでこれからこちらに意識を戻して帰るが、一つ問題がある』え、問題とか嫌なんだけど『そっちの世界で意識を失わなければならない。その点はこっちに任せろ』って、はぁ!?無茶ぶりだし、ヤダし。怖いし。え、なに意識失うって、何する気?」
「それって、もう帰っちゃうの?」
「え、うーん。みたいだね」
「っうぅ」
「……」
「アレだ。頑張れよアリババ。で、カシムも力入れすぎずに自分追い込むなよ」
「ぐすっ。うん。うん」
「うるせぇよ」
「カシム」
「また会えるよね」
「うーん。多分頑張れば?」
「絶対会いに来いよ!」
「え、何?どうしちゃったの?最後にめちゃくちゃ素直だねカシム」


最後の最後で好感度上げちゃうなんて裏ワザをいったいいつ覚えたの?でも、私はそんなことではキュンキュンしないからねと言ったナマエの頬をカシムは少し涙目で捻り、アリババは今にも零れそうな涙を堪えながらナマエの腕にしがみ付いている姿を見てナマエはどうしてアリババは女じゃないんだろうと、別れと場違いのことを考えていた。


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