幼少期編



ドレッドって引っ張ると伸びると思っていたナマエは、伸びないのだと思いながらも手を放すことはない。


「イデデ…。放せって!だっていきなりそんな妄想じみた話いくら俺らが子供だからって信じられるかよ!」


なぁアリババ?と言って、ナマエの向こう側にいるアリババに視線を向けたカシムは目を見開いた。
この幼い時点で冒険大好きで迷宮も興味を持っていたアリババにとっては、別世界は魅力的な言葉であり、スゲーっと目をキラキラさせて興味を示すアリババを見てカシムはあ、コイツこういうの大好きだったわとどこか冷静に思っていた。
一方マリアムは幼すぎる故の純粋な心でナマエの言葉を信じており、妹大好きなカシムはナマエさんって凄いねと同意を求めるマリアムに否定出来ずにいた。


「ねぇナマエさん!」
「ん?」


先ほどまで落ち込んでいたのが嘘のように明るい声でナマエを呼ぶアリババにナマエはどうしたー?と聞き返すと嬉しそうにあのねと言葉を続けた。


「ナマエさんの世界ってどんなところなの?」
「えー……っと。どんな所って言われても難しいなぁ」


説明してと言われると難しいもので、うーんと首を傾げて困ってしまう。


「じゃぁ、じゃぁ、ここと同じように国はあるの?」
「規模でけぇ質問から来たし、子供の一番に出てくる質問じゃねぇし、どんな食べ物がおいしいのとか聞かれると思っていた私の思考回路は一気にオーバーヒートを迎えそうだよ」
「意味わからねぇよ」
「えっと、国ね、国は国だね。うん」
「?」
「えー。よく分からないよナマエさん」
「あー、バルバットと違う所ってあるのか?」
「そうだね。あ、砂漠はないよ」
「え!砂漠ないの!」
「ないない。もーこの暑さがたまんないよね。雨もごっつ少ないし」
「へぇ。ナマエさんの所は雨がたくさん降るんだ」
「雨はここは少ないもんねお兄ちゃん」
「そーだな」


ほんと少なすぎて水不足が気になる所だけど、霧が多いからカバーされていたりするのかな?と聞き返すが、よく分からないと三人に言われてだよねーと言うしかなかった。

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