ケーキ







今日は財前の誕生日。



だから、財前に片想いしている女の子達は
今日こそは!...と気合いを入れまくってプレゼントの用意。


ほら、だって財前ってさ
こう...なんていうか、クール...じゃない??



だから普通の日にプレゼントなんて
受け取ってくれないんだよね。

もらう理由ないっスから。だとか、なんだとか言って。

ね、だから今日はチャンスなの!


その女の子たちというものの中には
もちろん私も入っているわけでして。

私は他のたちと比べたら
比較的に渡しやすい方と思うの。


だって、私はマネージャーで、しかもその上、幼馴染み。
四六時中ずっと近くにいるしね。

渡すのは自然にいけると思う!


でもなぁそれが幸なのか、不幸なのか...


普通に幼馴染みからのプレゼントとしか
認識されないんじゃないかな、なんて。



































『財前♪』
「...何スか、先輩。 」




先輩.........。


そう、私は財前の一つ上。
だからこの学校という制度の中では私は財前の先輩。



いつもは光とnameと呼び合ってたんだけど、
中学に入ってからは何故か私達が幼馴染みだということは
秘密にされているから、苗字か先輩で呼び合ってる。



なんか、さみしーなぁ。



『あのね、今日久しぶりに私の家に来ない?』
「? なんでですか?」
『え...だってほら、うー...ん。』
「?」
『渡すものがあるから!』
「はぁ。」
『来てね!絶対だよ!』


有無を言わせず、いい逃げ。
行けないとか、言われたらイヤだもん!!


















































◇◆夕方





『光、遅いなぁ......。』



ピーンポーン...。




あ、来た!



『はーい!今行く〜。』



猛ダッシュで玄関まで行って
ドアを開けるとそこには
今までずっと待ち続けていた財前が立っていた。


その手に大きなプレゼントを持って。





『...それ......どうしたの?』



おそるおそる聞いた。



「もらったんや。ついさっき、そこんとこでなんか可愛らしい女の子に。」



かわいらしい女の子...?
大きさと匂い的に多分、いや...間違いなくケーキ。



『どんなの...?』
「さぁ?俺もまだ見てへんから。」



財前がガサゴソと箱を開けた。


その中には可愛らしくデコレーションされたケーキが入っていた。
見るからに美味しそうなケーキ。


私なんかがどんなに頑張っても敵わないような...。



『美味し...そうだね。』
「ん?あぁ、うん。自信あるっていうとったわ。」


そっか...。

じゃあもう、



『今からそれ食べよっか。せっかく作ってくれてるんだし!』
「え?」
『ち、ちょっと待ってて!』


私は急いで机の上に
用意しておいたケーキを手に取った。

さっきのケーキと比べたら明らかに汚いケーキ。



そりゃあね。
私、料理なんてしないもの。



自分で食べるのも...どうかと思うしさ。
.........棄てよう。



かわいそうな、私のケーキ。
どんなに一生懸命に作っても敵いっこないんだもの。



仕方がない。

しかたがない。

しかたが......。



涙がポロポロ流れてくる。





強引に涙をぬぐってゴミ箱の中にケーキを

放り込もうとしたとき...。


















「ちょっなにしてんねん?!」



財前?



『え?財前!?アンタこそ何してんの!ちょっと待っててって言ったじゃない!!』
「だってnameが肩震わせとったんが見えたから。ていうかそのケーキ...」



そう言われてハッとした。
私、ケーキ持ったままじゃん!!

急いで後ろに隠した。


『いや、これはっ。え、と...。その、なんでもないっていうかっ...ほんと気にしないで!てか忘れて!』



ゴミ箱に押し込もうとした瞬間、光に腕を捕まれた。



『?!』
「捨てんな!」
『で、でも、』
「それ、俺のなんやろ?」
『でもほら、ケーキあるし。 2つもいらないかなぁー...なんて。』



そういうと光は自分の持っていた
ケーキをゴミ箱の中に捨てた。




『えぇー?!ちょっとー!! せっかく貰ったケーキなのに...』
「いらん。」
『へ?』
「そんなんいらんわ。」
『え?ぇ?』
「手作りなんて好きなヤツ以外から貰っても嬉し無い、いうてんの。」


好きな人...?




『それって...』
「好きや、name。」



うそ。



「だから棄てるなんて言うなや。」
『こんなんでいい、の?』
「当たり前やろ。」
『や... やったー!!


嬉しさのあまり私は光に飛びついた!!



「ちょっ!ぅわ?!」
『私も好き!!』
「知ってるわ。」
『じゃあさじゃあさ、これって両思い?!!』
「うん、まぁ...」
『光、私の彼氏ってことだよね?!』
「あぁ。」
『や... やったー!!
「それ、さっきも言うてた...」


えへへ、だって嬉しいんだもん!



『じゃあこれからは私のこと先輩っていうのナシね!』
「えぇー...。」
『敬語もナシ!』
「はあ。」



ふふ、やったぁ。



「でもそのかわりnameは俺のものやって言いふらすから。」




え?!

ちょっ...それは、





『全然いいよー!!』
「いいんかいっ...!!」



























◇◆おまけ


『たーんと、お食べ♪』
「ケーキの上にぜんざいって...」
『何か言ったー?』
「いや、別に...(パクっ」
『...どう?』
「あ、...美味しい。」
『本当に?!わーい!!ぜんざいとケーキなんて絶対合わないと思ってたー!』
「味も分からんようなもん食わせたんか...」
『だって、財前の好きなものとかそれくらいしか知らないもん...』
「ぜんざい以外にも好きなもんもあるわ...」
『えー、なになに?』
「言うたら食わしてくれんの?」
『うん♪もちろん!』
「んじゃ言うわ。俺が好きなんは......(ニヤ」
『?!//////』







∵あとがき

 財前HappyBirthday・。♪*+o
   ∧,,,,∧
  (* ・ω・)
  / つ(⌒⌒)
  しー \/

 いやー、ついさっき
 誕生日のこと知りましてね。
 焦りましたわ、ほんとに。
 でもギリギリ間に合ってよかった。

 執筆 2012.07.20





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