君生まれし日








ねぇ、俺たちはどこからすれ違い始めたのかな。
二人で同じ未来を見ているつもりだった。


全国大会に向けて、
部活はいつもより忙しくなっていったけど、
二人なら大丈夫だなんて思ってた。
何の根拠もないのに。

知らず知らずのうちに君との距離感を計り間違えていた。

俺だって違和感ぐらい気付いていた。

でも、君がいつも
「私は大丈夫だよ、平気だからね。」
って笑ってくれるのをいいことに、
俺は、ごめん、なんて
簡単で曖昧な言葉で片付けて、
君の寂しさを見て見ないフリしてたんだ。


今でもnameのことを思うと、考えると、
胸が締め付けられてひどく苦しくなる。

教室にいれば居眠りしていた君を思い出し、
屋上にいれば一緒にお弁当を食べた記憶が蘇る、
部活をすればフェンス越しに
口パクで"頑張れ"と言う君の面影が見えてきた。
この目に映る全ての場所に君がいるんだ。



こんな苦しいなら何故
俺はその手を離してしまったんだろう。
君との何気ない時間一つ一つがしあわせだったと、
離れてから気が付いたんだ。

そんなこと今更後悔したってもう遅いのにね。


「…幸村くん」
「…っ」
「やっぱり…大丈夫じゃないじゃんかよぃ。」
「うっ…くっ……っ」



ブン太はきっと心配そうに
こっちを見ているんだろう。
でも涙で視界が歪んだ俺には
今はもう何もわからない。
ただ、背中をさすってくれる
ブン太の手の温もりを微かに感じるだけ。









ねぇ、あとどれくらい季節を越えれば
この涙もイタミも懐かしさに変えられるのかな?

なにひとつ俺は変われていない。あの日からずっと。


俺だけがあの日のままで、
それでも無常にも時は過ぎていくもので。



大切な日だったんだ、本当に。

去年は一緒にいたのにね、
出来るなら今年だって一緒にいたかった。
去年よりもっといいプレゼントもあげたかった。
またあの、優しい笑顔が見たかったよ。


でもそれはもう叶わない。



サヨナラ大切な人。

今なら、心から言える。



「nameは俺の…、すべてだった…。」



もう少し早くそのことに、気付けばよかった。







∵あとがき
 幸村くんお誕生日おめでとうございます!

 今回はナオトインティライミさんの
 "君生まれし日"という曲をモチーフにしました。

 幸村くんに限らず、部長さんは部活を
 最優先しなくてはいけないので自分の事は
 二の次になってしまうのではないかなあ…と思います。
 手塚のひじがその例ですよね。
 そうなると恋愛ごともきっと、二の次になってしまいますよね…。

 あとブンちゃんと幸村が仲良しだったら
 非常にテンションが上がります、私が。

 みたいなことを、考えながら
 この曲を聴いていたらこんなお話ができちゃったというわけですよ!←

 去年一年は誕生日夢を一話も更新していなかったので、
 少し反省しています(; ・`д・´)
 今年はもっといろんなキャラの誕生日を祝いたい…っ!

 執筆 2014.03.05



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