籠の小鳥






君と別れたあの日から...
もう2年が経った。





君はとても人気者になって、人と関わりたくない、と
かたくなに部屋から出なかった時とは
比べものにならないくらい輝いていた。


...僕はもう何年も
君のこと持て余していたんだね。
宝の持ち腐れになるところだったよ。






「不ー二っ!」
「...ん?どうしたんだい、英二。」
「不二はさーぁ。彼女とかつくんないの〜?」
「うん。」
「えーにゃんで?!俺、不二を紹介してって子たーくさん知ってるよ?」
「ふふ、そうなの?」




...でも僕にはあの子しかいないんだよ。


もう数年も二人で会うどころか、まともに話もしてないけど。
それでもやっぱり僕にとっては...




































『周助ッ!!!!!!』




懐かしいその声。振り向くとそこには、



「name...?」
「あ、family nameちゃんじゃーん☆」




なんで...こんなところに?



『あ、英二くん。ちょっと周...不二くんと二人にしてもらっていいかな?』


少しの間、驚いて英二は止まっていたけど、
またすぐにいつもの笑顔を見せた。


「もち!」


そして、英二は僕の方を見て、
ニヤニヤしながら、その場から去っていった。



「name...久しぶりだね。」
『うん、そうだね。久しぶり。』



そう言ってニコッと笑う彼女の愛らしさは
あの頃から一つも変わっていなかった。



『今日はね、大事な話があって、周助のとこに来たの。今、いいかな?』
「...かまわないよ?」



nameとこうして、
向かい合うのは本当に久しぶりで、

少し照れくさかった。


nameは自分を
落ち着かせるために深呼吸をした。




『まず...ありがとう、周助。私に人と触れ合うことチャンスをくれて。』



正直...驚いた。
本当に急にお礼を言われたから。





『周助がいなかったら、私は、本当に何も分からないバカな人生を歩むところだった。』
「...うん。」
『私は、この2年とちょっとの間で一生支え合っていける、信頼できる友達や、仲間が沢山出来たよ。』
「...うん、そっか。」



よかった......。
僕のした事は間違ってなかったんだね。
君にとって幸せなものとなったんだね...。


じゃあもう僕は...、




『私、たくさんのいい人に囲まれていて今、とっても幸せよ。それに変わりないの...でも、』
「...で、も?」
『私にとって周助以上に大切なパートナーには出逢わなかった。』
「......え?」
『私、言ったよね 待っていてって。周助の言うように、沢山の友達ができたら、必ず周助のところへ戻ってくるから。って。』



まさか...、そんな。



...。でも、そういうことだよね?
自惚れてもいいの...かな?




『...私、戻ってきたんだよ。』
「name...それって...。」
『周助が好き。大好きなの!!今までも、これからも、ずっと。』
「name...ッ...。」
『私と...やり直して...もらえますか...?』



ねぇ、こんなこと信じられる?


気持ちが通じ合うってこんなにも嬉しいことなんだね。
僕の返事なんてもう決まってる。



「name、僕は─────......






















放たれた籠の小鳥。


澄んだ蒼い空を、美しい白い雲を、


羽を伸ばす自由を知ったけれど、


どんなにそこが輝いた世界であっても


私にとってはあなたがいないばかりに、


そこはもう色褪せたも同じ。


それを知ったのだから、私は好んで籠に戻りましょう。



でももし許されるなら、願わくば今度はあの空をあなたと共に...。







∵あとがき
 不二くんのシリアスでした。遅くなってすみません!

 シリアスを意識して書いたのは初めてだったので、
 これでいいのかどうか...(・_・;)

 最後はどうしてもHappy endにしたかった←
 長い時を経てなおも、
 想いが通じ合うって素敵ですよね。

 瑠璃様リクエスト本当にありがとうございました!
 こんな駄文でよろしければ、どうぞお持ち帰りください。

 執筆 2012.09.10







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