籠の小鳥







僕がいるから彼女は外に出たがらないのだろうか。
人と関わる必要がないと思っているのだろうか。

彼女の考えもあながち間違いではないのだけど...。




僕は多くの人と関わって
その中からnameを選んだけど、nameはそうじゃない。
だから僕をパートナーだと錯覚しているだけなのかもしれない。


彼女は外へ出るべきだ。


...たとえその結果僕から離れていこうとも。













ねぇだから、





「name、僕たち距離を置かないかい?」
『え...?!』



君の泣きそうな顔を見て、すごく罪悪感を感じたけど、
...君のため、だから。

ごめんね。




『いやだっ!いや、いやっ!』
「name......」
『周助がいなくなったら...私...どうしたらいいか...っ...。』
「name。」
『やだよ...周助っ...私のこと嫌いに...なったの?』
「...name、あのね。僕は君が好きだよ。それは全く変わっていない。」
『じゃあ...なんでっ...』
「君の世界を広げるため。」
『...っ?』
「僕はそれの邪魔になっているんだ。君はね、外のことを知らなさすぎるよ。」
『そんなの...だって私には周助がいれば...』
「...うん、嬉しいことなんだけどね。それじゃダメなんだよ。...君は一生支え合っていけるパートナーの話をしていただろう?」
『...うん。』
「そのパートナーっていうのは、一人じゃないといけないってことはないと僕は思うんだ。」
『ぇ?』
「一生支え合っていける友達を僕は君に沢山見つけてほしい。」
『......友達。』
「そうだよ。」



少しの沈黙のあとnameが口を開いた。



『あの...周助にはいる、の...?一生支え合っていける友達が。』



その時、僕のあたまには
たくさんの仲間の顔がでてきた。


手塚、英二、乾、タカさん...。
その他にも大勢。



「...いるよ、たくさんいる。」
『...そう。』


君にもその質問をした時にたくさんの仲間の顔が
思い浮かぶようになってほしい。



「僕がいるとね、君はきっと変わらないままだよ。」
『.........。』
「それに君は僕のことをパートナーと言ってくれたけど、本当は違うかもしれないよ?」
『?!』
「僕よりもっといい人に出逢うかもしれないだろう?」
『そんなことっ...絶対ないっ!』
「それは僕としか出逢ってないからそう思っているだけだ。」
『違うもんっ...!私...ちゃんと周助のこと好きだよ?!本当だもんッ...本当...』
「うん...それは分かってるんだけど...今はそうでも変わるかもしれない...ってことなんだよ。」
『...でも、』
「...ちょっと話がズレちゃったけど、僕が言いたいのはね、何度も言うけど君がもっと外に出て、もっと人と触れてほしいということなんだよ。」
『......』
「今までは病院の中にいたから仕方がないといえば仕方がないけど、これならは違う。外に出られるんだから。自分からその機会を無駄にしないで。」




伝わったかな...?

分かってほしいな、僕の気持ち。


本当は僕だって君と一緒にいたい。
でも、それじゃあ...ダメだから。








『...分かった。』
「本当に?」
『分かったけど...それをするには...どうし...ても周助と離れなきゃ、いけな...いの?』
「...そうだね。」
『...分かった。でも、私の気持ちは絶対変わらないからね?これから、何があっても。』
「...うん、僕もだよ。」
『だから、待っていて。周助の言うように、沢山の友達ができたら、私、必ず周助のところへ戻ってくるから。』
「...うん。」





それでもやっぱり僕が帰るときには
大泣きしてしまった君を見てちょっと、後悔した。

このままでも、それはそれでよかったんじゃないかなって。


誰とも関わらず僕とずっといたら、
泣くことも、傷付くことも絶対にないのだから。



でも、やっぱりそれは幸せではないよね。
























君と別れたあとも何度も何度も悩みました。

でも君が学校へ行くことになってから
そんな悩み全部吹っ飛んだよ。


君がすぐに色んなこと仲良くなったから。
すぐにクラスに打ち解けたから。






手放してよかった...かな。







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