四角関係





走った。必死に、走った。


nameにまず謝りたい。
勝手に勘違いして、無視して、傷つけて、
不登校にまで追いやって...


ジャッカルの言うとおり
俺、最低だ。

気付くと、もうnameの家の前まで来ていた。



1回、深呼吸をしてチャイムを鳴らした。
出てきたのは、小さな妹だった。





「......誰でしゅか?」
「え...っと、丸井...ブン太、です。」
「......。」
「あのー...。」
「お姉ちゃんを...イジめたら...許しゃない、です。」
「イジめねぇよ...安心しろぃ。」
「....。」
「....。」
「........どうじょ...。」




妹にドアを開けてもらい、
俺はnameの部屋へと急いだ。

あんな小さな子にも
姉の気持ちって伝わってんだな...。


部屋の扉の前でも
また深呼吸をしてからドアを開けた。



部屋でnameは
ベットにも乗らず、床にヘタリ込んでいた。




「name.....。」




俺の声を聞くや否や
nameはガバッと起き上がった。




『ブ、ブ、ブン太?!!』
「そうだぜぃ。」


nameは明らかに動揺していて、目が泳いでいた。

このままだと勢いでnameのほうが謝ってきそうだ。
だから急いで俺のほうから謝った。



「name、悪いッ!!!」



俺はnameに土下座をした。



『な、なに...?どうしたの?ブン太...。どういうこ...と?やだ......、頭...あげて、よ。』
「いーやっ。許してもらえるまでは頭あげられねぇよぃ。勝手に勘違いして、無視して、傷つけて、不登校にまで追いやって...本ッ当に悪いッ!! 」


俺は頭を下げたまま、さっき走ってる途中に
何度も考えた謝罪の言葉を告げた。



『...ジャッカルが言ったんだね。』
「...え?」



本当にお人好しだね、とnameは笑った。
下を向いていたから、顔はよく見えなかったけど。



『いいよ、もう。だから頭あげて、ブン太。』
「name...。」
『そっか、全部聞いたんだ...。...ごめんね、ブン太。今まで親友面して隣にいて。』


.........?
何の話してんだよぃ?


『私たち...もう今まで通り一緒にいることはできないね。』
「お、おい。何の話だよぃ?なんでお前が謝ってんだよぃ?」



nameは一瞬キョトンとした顔をしたけど、
すぐハッとして焦っていた。



「??」
『あの...ブン太...?どこまでジャッカルに聞いたのかな...?』
「どこまで...って。え?ジャッカルとお前がキスしてないことくらいしか聞いてねぇけど?」



俺がそういうと、
nameはボンッと顔が紅く染まった。



『あ、あ、そうなの?!私てっきり...やだ。忘れてッ!さっきの忘れてッ!』



あたふたしているnameの手をギュッと握りしめた。



「忘れねぇ。その先はジャッカルが教えてくれなかったからここに聞きに来たんだろぃ。」
『.........ぃ、言わない...。』
「言えよぃ。」
『...ていうか、言えない、よ。』


弱々しくnameの声は小さくなった。



「name、俺はもうなんでも受け止める覚悟はできてるから。」



俺な、気付いたんだよ、大切なこと。
nameのことは全て受け止める。
だから、言ってみろぃ...?




『......好きなの。』
「ぇ?」
『私、好きなの...ブン太のことが。もうずっと前から......。』


う、嘘だろぃ...?




『最初は伝えるつもりなんてなかった。ブン太が誰のことを好きなのか、もう十分痛いほど分かっていたから。』
「.........。」
『でもね、さゆとジャッカルが付き合うことになった時のブン太の悲しそうな顔を見て......。私ならこんな顔させないのにって思った...。』



すごい冷静なフリして聞いてるけど、
実際 俺の心臓はバクバクだった。



『私がブン太を支えたいと思ったよ。ジャッカルはそれを応援してくれてたの。ブン太のタイプになりたくて、ジャッカルに相談してたんだよ。それがこの前の食堂の時のこと...ほら…あのブン太の好きな人って、その…さゆ…だから、さ…。』


...なんだ。なんだよ。
そうだったのかよぃ。

なんだよ、ホント。
俺てっきりnameはジャッカルのことが
好きなんだと思ってたぜぃ。



...



『だから、ごめん...なさい。もうね、ブン太の応援...できないや』
「泣くなよぃ...。」
『だ...だってっ...。っっ?!』


俺はnameを抱きしめた。


抱きしめたnameの身体は
思っていたよりも随分小さくて細くて...壊れそうだった。



「name...今度は俺の番だな。あのな、俺はさゆが好きだった。だけど、いつからか、さゆのことを相談することじゃなくてお前に相談することが楽しくなってきたんだよぃ。こんなこと俺に言う権利はねぇのかもしれねぇけどよぃ。この二日間お前と話せなくて正直、すっげぇ辛かったぜぃ...。」


そして俺は抱きしめる力を強くした。



「...好きだ。」
『え、ぇ...?!』





そう言って急にnameは顔を上げたから、
俺のあごとnameの頭が思いっきりぶつかった。



「痛ってぇ!!?」
『わっ。ご、ごめん?!』
「.........。」
『.........。』




なんだこれ。




「ぷっ。あっははははは!!」
『なっ?!』
「ムード台無しじゃねぇかっ!」
『ブ、ブン太が急にそんなこというから!』
「ん?好きだぜぃ?」
『なっななな?!』
「......本気だ!もう絶対泣かさねぇ。大切にするからよぃ...俺と付き合『いいよ。』...ってく、え?!」
『いいよ。』
「か、軽くねぇ?!俺,結構お前に酷いことし...『私がいいって言ってるんだからいいでしょ?』
「う...。」
『それにブン太は授業をサボってまで謝りに来てくれたじゃない。それだけでもうこの件については十分だよ。』
「そういうもんか?」
『ふふ、そういうもん。』
























「しょーゆーもん...」
「『?!』」


声のする方を見ると、ドアから妹が覗いていた。


『きゃあぁぁあぁああ??!』
「ど、どうした?!妹!いつからいた、お前?!」
「...さいしょから。おねぇちゃん、しんぱい、で。」
「『えぇぇええぇえ?!!!』」












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