April 1st







軽めの沈黙、少し気まずい。

でも、その沈黙はすぐにブン太が破った。



「あのさ…俺、軽率だった。」
『ん?』
「お前なら、嘘って気づくかなー…って。」
『…うん、ごめん。』
「いや、謝るのは俺のほうだろ?そんなつもりはなかったけど…泣かしちまったな、ごめんな。」



そう言って片手で私の目を優しくおさえた。

私が泣いて目に熱を持ってたのもあるけど、
ブン太の指がとても冷たく感じて、
気持ちよかった。


『いいよ、もう。私も早とちりしちゃったしね。』
「…ごめんな。反省してる。」
『もう、いいってば…。』


目はまだ少し赤いだろうけど、
気分はもうすっかり晴れた。


別に捨てられたわけでもなんでもないんだ。 
よかった。

それどころか全力疾走で
顔色変えてまで来てくれたから、
それだけで十分。
今日のことはもういいや、許す。


『んじゃ、ケーキバイキング行く?』
「おう!いっぱい食べるぜぃ!」


ケーキって言えば、すぐ調子が戻るんだから。
単純バカだなぁ。

そんなブン太が好きな私も相当なバカかもしれない。
ブン太の一言で泣いたり、笑ったり。
でもそれはどうやらブン太も同じらしいから。
似たものどうし、お似合いってことで。


『私のこと好き…?』
「当たり前だろぃ!」
『ふふ、私も♪』




さっきのことなんてなかったみたいに仲良く手をつないで
これから行くお目当てのケーキバイキングに胸を躍らせた。




『あ、でも来年のエイプリルフールは覚えときなさいよ?』
「……ぇ。」






∵あとがき
 リクエストでは書いたことあったんですが、
 自ら短編として
 ブン太を書くのは今回が初めてです←

 執筆 2013.05.24




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