悪夢






…みんなの話をまとめると、こう。

まず、みんな学校に来たら、
自分以外誰もいなくて、
部室に行ってみると、黒い影がいっぱい。


最終的にはいっぱいとなったが、
着いた時にあった影の数はばらばら。


その後、外に変な気配を感じ取り、
それぞれ、部室の外に出て、高等部へ行く。


樺地に関しては部室に行かず、
そのまま直接、高等部へ行ったらしい。



ここからが、みんなバラバラなんだ。


まず、樺地は高等部に行った。
人の気配はなく、電気もついていなかった。
しばらく廊下に立っていると音がした。
すると、いきなり後ろから黒い影が
追いかけてきたから、逃げた。
でも、逃げても逃げても追いかけてくる。
だから、諦めて止まったらしい。
すると黒い影はゆっくり近づいてきて、
自分の方に手を伸ばしてきた…が、
その瞬間黒い影は消えてしまったそうだ。



岳人は黒い影が追いかけてきたらしい。
だから必死に逃げてたら
なんとかまくことができた…と思ったら、
今度は前に黒い影があった。
でも、こちらを追いかけてこないし、
むしろ近寄ったら逃げていったらしい。
逃げるから追いかけた。
でも、もう少しで触れる!
というところで目が覚めたとか。



侑士は黒い影を追いかけた側。
なにかしてやろう、とかそんなことを
思って追いかけたんではなく、
単に後ろにも横にも誰もいなかったから、
前にいた黒い影を追いかけただけ。
事情を聞こうとしたんだって。
でも、結局途中で見失ってしまった。
そこで何をすれば分からなくなって、
とりあえず近くの教室を開けた瞬間、
目の前に黒い影が現れたところで、
目が覚めて、終わり。




ジローも追いかけた側。
追いかけたというか、近づいた。
黒い影は、ジローが近づいてきていることに
全然気付いていなかったらしく、
ジローがすぐ傍まで行って手を伸ばした時に、
やっとこっちに気付いたらしい。
それで黒い影が自分を突き飛ばしてきて、
窓から落ちてる途中に目が覚めた。




跡部もまた黒い影に追いかけられたらしい。
結構しつこくて、あの跡部が息切れするほど。
最終的には真後ろまで来て、
肩を掴まれそうになった瞬間、
樺地と同じで黒い影は消えていった。
でもまたその後前に黒い影が現れたらしい。
その黒い影は追ってくる気配はなく
逃げていったが、途中で止まってこっちを
見てくるから近寄って手を伸ばしたところで
目が覚めた。




宍戸は特に誰かを追いかけることもなく、
追いかけられることもなく、高等部に行った。
高等部にはみんなの夢と同様、誰もいなくて。
ボーっと窓の下を見て、そこで初めて
高等部に来てから黒い影を見つけたらしい。
気が付くと真横にも黒い影がいて、
掴まれそうになったから
思いっきり目をつむって、
手を振り払った時に目が覚めた。と。



長太郎は校舎には入らず、外にいたらしい。
ハッキリではないが、遠くに
動く黒い影が2つ見えた気がした。
それをしっかりと確かめようとしたら、
上から黒い影が自分に目掛けて
襲ってこようとしたらしい。
目を伏せて、でも何も起こらないから
もう一度見ると、もういなかった…とのこと。
その後は校舎に入り、
片っ端から教室を調べていった。
でも結局、誰もいなくて、ある教室を出ようと
ドアを開けた時に目が覚めた。




あー…。もう大変。

みんなが言ってることを
ノートにまとめてみたんだけど、
ごちゃごちゃしてて大変。


「なんか、訳わかんねぇなぁ。」
「名前はどんな感じやったんや?」
『私?私はねぇ…「なんだ、お前、メモしてたのか?」…え?あ、うん。』



跡部が私のノートを意味ありげに見る。
そうすると自然とみんなも集まってきて、
私のノートを無言で読み始めた。



こっわ…。何、この、状況。
みんな無言で私の手元をじーっと見て。
侑士なんて、自分が質問したこと、忘れてるよ絶対。


仕方がないから私も読み返すことにした。


なんか、みんな触れそうになったり、
触られそうになったり…。
とりあえず、1回は接触してるんだね。

しかも、ほとんどが接触する前に目が覚めてる。



触られる側の時は覚めないのにね。
なんでだろう。


…ん?ちょっと、待って。

これって…。



「…なぁ、宍戸。お前、窓の下に黒い影があったって言うてたやんな?」
「あぁ、そうだぜ。」
「んで、気がついたら横に黒い影がおった、そやな?」
「そうだけどよ。それがどうした?」
「そんで、ジロー、お前は黒い影に近づいたけど、ギリギリまでそいつはジローが近づいてることに気づいてなかったっていうたやんな?」
「そうだCー。」
「それなんか一致せえへん?」
「あ?どういうことだ?」



…そうかっ!


『だから、ジローが近づいた黒い影っていうのが宍戸で、宍戸が気付いたら横にいた黒い影っていうのがジローだったんじゃないかってことよ!』
「…っ!!」



たしかにそう…。

その後宍戸は黒い影を振り払ってるし、
ジローは突き飛ばされてる。

完全に行動が一致するよ。


「で、鳳とジローも関わってるはずや。」
「たしかにそうだぜっ!ジローは窓から落ちてる途中に目が覚めて、鳳は上から黒い影が降ってきたけど途中で消えたっつてるからな!」
『さらに言えば、宍戸が見たっていう、窓の下の黒い影は長太郎の可能性が高いしね。』
「…なるほど。たしかにそうですね。」



すごい…。
どんどんピースが埋まっていく。



「じゃあ俺様が追いかけてたのは樺地だったってわけじゃねーの?」


そうだ。
樺地は逃げるのを諦めて止まった。
それに追いついた跡部が手を伸ばしたら、
跡部は、目が覚めた。
当然、樺地からしたら消えたことになるだろう。



「俺は岳人を追いかけてたわけやな。」
「んで、俺は侑士から逃げ切った後、跡部を追いかけてたのかっ!」




それで、侑士は教室を調べていた、
長太郎とばったり会って目が覚めた…と。

そういうことね?




「すげーなっ!俺ら夢の中で一緒にいたのかよ?」
「部室にいたうじゃうじゃは俺ら全員だったってわけなんだな!」



それを私は外から見てたのね…。

で、私が枝を踏んだから、
みんな異変を感じて外にでた、と。






「それにしても宍戸ヒドいC〜。俺のこと突き飛ばして落とすなんて…。」
「悪かったって。でも仕方ないだろ…?」
「でもさ、結構痛かったよ。ほら、見てよ。跡ついちゃってるCー…」



そう言ってジローは首元を見せた。
赤紫の跡が残っていた。


「は?!夢で跡残るのかよ?!」
「実は俺様も跡あるんだよ。向日は目が覚める前にギリギリ俺のこと掴んだらしいな。」



そう言って袖をめくると、
たしかにジローのような赤紫の跡があった。



「う…悪ぃ…、跡部。」



























私の持っていたノートが床に落ちた。









「おい?!名前どうした?!顔真っ青だぞ?」
「Eー…ほんとだ、大丈夫…?」
「…そ、そういやお前はどんな夢だったんだよ?」

































ちょ、ちょ、ちょ。
ちょっと待ってよ。


夢の中の出来事が現実に反映されるの?!













私、









夢の中で








最後…








ナニヲシタ?












































「そういや、今日、日吉の姿みてないな…」








∵あとがき
 今日こんな夢見たんだ、って、友達に言ったら、
 周りにいた友達が次々に私もそれと全く同じ夢を見た!
 って言うんですよ。合計8人も。
 何、これ?怖いんですけど。

 っていう夢を見ました。そっからできた話です←

 執筆 2013.02.24



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