悪夢




「名前、おはようさん。」
『あ、侑士。おはよ!』



学校に着くと、みんなちゃんといた。
…いや、それが当たり前なんだけどね 。


あんな夢見たあとだから、少し不安だった。



「せや、名前。今日は部活早く終わるらしいで。」
『あ、そうなの?ラッキ。』



私は氷帝テニス部のマネージャー。

毎日キツい仕事ばっかりだから、
休みが入るとかなり嬉しい。



ていうかさ、こんなキツい仕事
ばっかりしてるから、ストレスが溜まって
あんな悪夢見たんじゃないの?


絶対、そうだ。

部活終わったら、
ちょっと文句いってやろう。







「なー、侑士きいてくれよー。」
「なんや?」


クラブ後の部室。

…うん、もう何も言うまい。

女の私がいるにも関わらず、
平気で着替えだすのも、もう日常茶飯事。

ほんとデリカシーの欠片もないんだから…。



「跡部〜なんか髪についてるC〜」
「あ〜ん?樺地とってくれ。」
「でよ、そこでさ。」
「…ウス」
「宍戸さんそういえばですね、」
「ちょお待てそれなら、俺」
「たしかにな、激ダサだぜ。」



イライライラ……。


文句を言ってやろうと思うのに、
それぞれで話してるから、全く入る隙がない。

くっそぉー……腹立つわー…。



「とれました…」
「マジで?!侑士も同じ夢見たのかよ?!」
「ジローもついてるぞ?」
「昨日返しましたっけ?」
「いや、まだだけど。」
「E〜どこ?何がついてる〜?」
「せや、学校に誰もおらへんねん。」
「寝ぐせ。」



あー…もう。早く話、終われ。


…ん?ちょっと、待って。

今がっくん夢とか言った?
で、そのあと侑士は学校に誰もいないって言ったよね?
それ、もしかして…



『ちょっ!侑士とがっくん!』



みんな、ぴたっと止まってこっちを見た。

なんかこの状況、前にもあったような…。


「ん?」
「なんや?」
『今の話もう一回してくれないかな?』
「夢の話かー?」
『そうっそれ!』
「かまへんけど。」


みんなも岳人と侑士の話を聞いていた。


「えーっと、今日、俺さ、夢見たんだけどさ、その場所は学校だったわけだよ。」
『うん。』
「だけど、学校に誰もいねぇんだよ。」
「そんで、俺もその夢と全く同じ夢を見たってわけや。」


…やっぱり。
私とも全く同じ夢だ。


「ちょっと待って下さいよ。俺もそれと全く同じ夢を見ましたよ?!」
「自分も…見ました。」
「俺も…。」
「俺も見たC〜っ!!!」
「俺も見たぜ…」




えぇっ?!

なんで?!
なんで、みんな一気に同じ夢を見るの?!


「ちょお…どういうことやねん、これ。」
「気持ちわりぃ。」
「ま、でよ。夢の中で誰もいなかったから、俺は部室に行ったんだよな…。」
「俺もや。俺も部室行ったわ。」




俺も、俺も…と、
結局みんな部室に行ったようだった。






「そんでよ!部室に入ったら、黒い影がうじゃうじゃいるんだよっ!」
「そーそー。気持ち悪かったC〜。」
「あ〜ん?俺様が行ったときは何もなかったぜ?まぁだがその後どからんどんその影が増えだしたけどな。」
「俺は1つか2つ程度でしたよ。その後は跡部さんと同じで増えていきました。」
『私は部室には入ってない。だって、気持ち悪かったし…。』
「まぁ、それが賢明ちゃうか?俺もその影は見たで。俺ん時はもう結構うじゃうじゃしてたけど。」



…ここまでは、だいたいみんな一緒。

とりあえず、みんな、黒い影を見てるみたい。


「自分は…部室には行きませんでした。」
『え、そうなの?じゃあ黒い影は見てないんだ?』
「いえ、影は…見ました。高等部の方へ行った時に後ろにいたので。」
『黒い影が?追いかけられたってこと?!』
「はい。」



私も樺地と似たような感じかな。
高等部に行ったし、影に追いかけられたし。


「高等部なら俺も行ったぜっ!しかも追いかけられたってのも同じだ。」
「高等部なら、俺も。でも、俺は逆で追いかけた側や。」
「俺なんて目の前まで来たC〜。それでー突き飛ばされてー、窓から落ちてる途中に目が覚めた!」


突き飛ばされた?!
しかも落ちるって…


「え?俺は、追いかけてる途中に…」
「たしか、高等部の2階で…」
「そういや、あの時あそこで…」
『うるさーいっ!一気にしゃべるなっ!』





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