07






『チョター。どこにいるのー。』


チョタのネックレスが落ちていたところに
一番近い扉をくぐると、そこは森へとつながっていた。



私が両手を広げたくらいの大きな花や、
真っピンクのキノコや...とりあえず奇妙なものばかり。



しかもそれぞれに顔らしきものがついている。




『あのー...すみませー...ん』



─────......。



“顔がついている=しゃべる“
という私の小さな希望は見事に打ち砕かれてしまった。


返事一つ返ってきやしない。


...みんなどこにいるんだろう。早く会いたいなぁ。



とりあえず私は近くにあった大きなキノコに腰かけた。



「ちょっとぉー!!座る前に許可とりなさいよぉー?!」
『ぬわっ?!ぇ?!』



いきなり声が聞こえて、驚いた私はすぐさま立ち上がった。
そして声の主を探すため周りを見渡した。



『???』
「どこ見てんのよぉー。こっちだしぃー。」



今私が座っていたキノコが声の主のようだ。



『ご、ごめん。』
「分かればよろしい。」
『......』
「......」



...か、会話が...終了してしまった。



『あの──...』
「......」



おい!!無視か??!無視なのか?!

人が話しかけてんだから何か反応しろよ!



『ちょっと聞きたいことがあるんですけどっ』
「.........。」
『.........。』




コイツ─...。
キノコ鍋にしてやろうか!!!

腹が立った私はキノコを思いっきりつねってやった。



「いったーーーーーいっ!!!!!!!!」
『?!』
「何すんのよ?!アンタ!!」
『つ、つねった......』
「ふざけんじゃないわよっ!」
『そ、そっちが悪いんでしょー?!』
「はぁ?!」
『こっちが話しかけてんのに無視して!!』
「知らないわよ!誰に話しかけてるのか分からなかったんだから仕方ないじゃないの!」
『あなた以外としゃべってないでしょ?!』
「───...!」
『───...!』

















数分間、キノコと口喧嘩していたが、途中で私は気づいた。


...何やってんだ、私。チョタを探していたはずだろ。
何、初対面の...しかも、キノコと喧嘩してるんだ。

ここはひとつ、私が
大人になってこの喧嘩を終わらせないと!



『ねぇ。』
「何よ?!」
『私が悪かった。だから、機嫌を直してちょうだい?』


ジト────...と、キノコがこちらを見てくる。
うぅ...。想像以上に怒ってる...?




「本当に反省してるんでしょうねぇー?」
『も、もちろん...』
「フン、ならいいわ。仕方がないから許してあげる。」


...あれ?案外、簡単に許してくれるものなんだね...
ぶっちゃけ、もうなんの喧嘩だったかさえも覚えてないけど。

なんか心なしか、このキノコ
ちょっと日吉に似てるなー...なんて。


そんなこといったら、私の命が危なくなっちゃうね☆



「そういえば、アンタ何でこんなところにいるの?」
『へ?』



何でって...。


...そ、そうだ!チョタを追いかけてたんだった!!
すっかり忘れてたよ、喧嘩に夢中で。



『チョ...白うさぎを探してるの!!』
「白うさぎ?」
『そう!見なかった?!』


ネックレスを握りしめながら、 私はキノコにグッと近づいた。




「み...みたけど?」




キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!目撃者発見!!!



「あっちへ走って行ったわよ。」




そう言ってキノコは
私がぬけてきた扉とは反対の方向を向いた。



『ありがとう!!行ってみるよ!!』



私はキノコにペコッとお辞儀をして、
チョタを追うため走りながら、キノコにブンブン手を振った。


























「また白うさぎを追いかけているのね、あの子。」
「......大きくなったわねぇ。」
「ふふ、中身は変わってないけどね?」



後ろでそんな会話が聞こえた気がした。






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