ペテンにかけようか
その日、いつもなら
すぐにとんでくるはずのアイツが部室に来なかった。
「今日はname来ないのかよーぃ…。」
「珍しいですね。」
「何か理由がある確率、97%…否、100%だ。」
嫌な予感がする。
「おつかれさまーっス。」
「あれ、赤也。今日は居残りでクラブ休むんじゃなかったっけ?」
「ダッシュで来たら、クラブに間に合うかなーって思ったんスけど…やっぱ無理でした。」
「なるほど。」
「どう考えても無理だろ…」
「そういや、さっきname先輩に会ったっス。」
「どこでじゃ?」
「たしか裏庭あたりで…女子たちとたまってたっスよ。仁王先輩がどーのこーのって。」
は?
「それたまってたっていうか…」
「うん、呼び出されてんじゃねーのかよぃ?」
なんじゃと?!
「たしかに…って、ちょ?!仁王!!」
フザけんな、nameに手出したら絶対に許さん。
部室を飛び出して、裏庭へダッシュした。
「あー…行っちゃいましたね…。」
「仁王は素直じゃないなぁ」
「どうする?」
「俺らは行かないほうがいいんじゃねーのか?」
「そうみたいだね。」
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