ペテンにかけようか




『仁王ー!』
「また来たんか、お前さんは…」



クラブが終わると1番にとんでくる。
何かしらの差し入れを持って。



『へへ、当たり前じゃーん☆仁王が大好きなんだもーん。』
「お、黄色じゃねーかよぃ今日は何持ってきたんだー?」
『今日はね、ドーナツ持ったきた!』
「やっほーい!ドーナツだってよー!」
『頑張って作ったんだから!はい、まず仁王からっ』
「お前さんも懲りんのぅ……。」
『みんなもどーぞ。』
「毎日毎日、ありがとうございます」
「美味しいね、これ。」
「最高っスよ!」
「なかなかだな。」
「うめぇ…」
「もう1個もーらいっ!」
「うむ…料理ができるとは。お前はなかなかいい嫁になれるぞ。」
『ほんと?!やったー!仁王のいいお嫁さんになるからねー』
「婚約した覚えはないんじゃが。」
『いいのー!そのうちするから!』
「ありえんぜよ。」




と、口では言うが、
nameが嫁にきてくれるなんてこれ以上の幸せはない。

まぁ叶わんことじゃが……。

でももし高校を卒業して大学に行って
それでもまだ俺のことを好いてくれているのなら、
夢ではないかもしれない、と思った。
が、
今、ここまで冷たくしているのにそんな虫のいい話はない。
やはり、諦めるしかなさそうだ。








『ねーぇ、聞いてる?!』
「プリっ…」


全然聞いてなかった……。



『だからー。どうやったら好きになってくれるのー??』
「ピヨ。」




もう好きになってるぜよ。



『もーっ!ちゃんと答えてよー。』
「…そうじゃのぅ。」




答えられるわけなか。

お前さんが好きなんだから。


無理難題吹っ掛ければ諦めてくれるかの。




「俺みたいにペテンをかけれるようなやつが好みぜよ。」
『……。』



nameは思ってることがなんでも
顔や行動に出る素直な性格。


まあ、無理じゃろうな。

もう諦めんしゃい。






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