妬かせてみたかったんです






私は長太郎を追いかけた。


どうしよう。


追いかけて、見つけて、捕まえて、
そのあとはどうしたらいい?!



長太郎怒ってたよね?!
嫌われちゃったの?なんで怒ってるの?!



『長太郎っっ!』



必死で探して、中庭まで来たところで
やっと、長太郎を見つけた。



『待ってよっ!!』



長太郎は黙ったまま走りつづけている。


私も走るけどやっぱり
男子テニス部の足の速さには勝てない。



もう限界かも……。


私は足がもつれて派手にずっこけてしまった。




ズタンっ!





……最悪。膝から血が流れる。



『…ったぁ』



もう追いかけるどころか立つこともできない。



『……長太郎…。』



行っちゃイヤだよ……。
謝るから許してよ。置いていかないでよ。




中庭には基本誰もいない。


私は一人で膝から流れる血を泣きながら眺めてた。


















































「……name」
『長…太郎っ…』




顔をあげると長太郎は
心配そうな目で私を覗き込んでいた。



「…ごめん、大丈夫?」
『長太郎ごめんなさいっ。』
「え…?」
『私ね不安だったの。長太郎があんまりヤキモチ妬いてくれないから、本当は私のこと好きじゃないんじゃないかって……』
「そんなこと…っ」
『それでね、今日はヤキモチ妬かせようとして日吉とかと仲良くしてたの…』
「……。」
『ごめんね…』


変な嫉妬とかしない、心優しいところが
長太郎のいいところなのにね。

そんな長太郎を好きになったのにね。



「あのさ、name。」
『うん?』
「俺、毎日妬いてるけど…?」



…………は?!毎日?!
長太郎が?!




『えぇ?!うそっ!!』
「ほんとだよ。嫌がられると思って言わなかったけど。」
『…だ、だって今日の授業中も普通だったじゃん』
「必死に隠してんだよ。今日は日吉を殴りたいくらい妬いてた……」



長太郎の口から"殴りたい"
なんて言葉がでてきた…



「俺、ちゃんと好きだから。だからもう今日みたいなのやめてね…?」
『…う、うん!しない、絶対しない。』
「じゃないと俺何するか分かんないよ。」
『え?なんて?』
「いや、何も。」



そっか……。
長太郎も妬いてたりするんだ…。



「じゃあ仲直りだね。教室戻ろうか。」
『うん。……っつ!!』
「…どうしたの?」
『…痛くて…立てない』



そういえばさっき転んだんだった……


すると長太郎は私に背を向けてしゃがんだ。



「はい、乗って。保健室に行こうか。」
『ありがとっ』
「今日一緒にいれなかった分、ちゃんと返してもらうからね。」
『…ぇ?』
「保健室で。」
『保健室で?何の話?』
「んー? 行ったら分かるよ。」




そう言って、長太郎に
おぶられたまま私は保健室に行った。








『(まさか…ね?)』












◇◆



「やっぱりサボるなら保健室だよね。」
『……』
「あれ?」
『(まず、長太郎がサボるなんてビックリ。あと少しでも期待した、自分が恥ずかしい…)』
「name?」
『え?あ、いや。一緒にいれなかった分、返してもらうって、サボりのことだったんだなって思って!』
「……」
『……?』


え、なに?この沈黙。


「…違うよ?」
『……え?』
「………」
『あの…近くないですか…?』
「……」
『(もしかして……)』
「いただきます。」
『??!』

























◇◆おまけ

「name大丈夫かなー。」
「あーん何の話だ?」
「え…あ、いや。ち、長太郎怒らすと面倒くさそうだなって思ってよ!」
「宍戸さんが心配してるのそっちじゃないでしょう。」
「……」
「あ。保健室入っていきましたよ。」
「?!マジかよ、若。」
「ええ、ほら。」
「うっわ、ちょっと俺止めてくるわ!!」

「意味分かんないC-」
「何の話や?」
「クソクソ、日吉どういう意味だよ!」
「向日さんにはまだ早いですよ。」
「はあ??」




∵あとがき
 長太郎の夢は、
 2月14日まで我慢しようと
 思ってたんですけど

 待てませんでした☆

 執筆 2012.02.05
 修正 2014.03.16


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