王様ゲームでもしようか





「王様ゲームしようぜ!」



部室に入ってくるやいなや岳人がそう叫んだ。



「あーん?王様ゲーム?」
「俺は別にええで。」
「宍戸先輩、王様ゲームってなんですか?」
「そんなのも知らねぇのか。長太郎、激ダサだぜ。」
「俺は嫌ですよ。」
『あぁもう!いっきにしゃべるなあ!』




どうも、挨拶が遅れました。
私は氷帝テニス部のマネージャーnameです。


ちなみに今日は先生たちが
出張なので、どのクラブも顧問が不在=休み。
だからとりあえず部室でババ抜きをしてたわけなんですが。



『なんでいきなり、王様ゲームなんてしたいと思ったの、岳人?』
「おう!なんか今日はなバスケ部も陸上部もサッカー部も野球部もみ〜んな王様ゲームをするらしいんだ!」
「そういえば、そないなこと言うとったなぁ。」
「だから俺らもしようぜ!」



なんて単純な………。
まあでも見てる分にはなかなか楽しそうだなぁ。

よし、許す。



『いいんじゃない?』
「えー。マジですか。」
『うん、先輩の決断は絶対だよ、日吉☆』
「一回くらいやってミソ!…で、王様ゲームって何だ?」
「『「はあ??!」』」


なんでやり方も知らずにやろうとしてんだ。




宍戸がひと通りルールを説明してる間に
私は割り箸にひたすら数字を書いて王様ゲームの準備をした。


「好きなん引いてやー」
「…ウス」
「あ、俺王様じゃないC〜」


てかさー。
これ、跡部が王様だったらおもしろくないよね〜。


「はい、nameも。」


宍戸が数字の(一つは王様と)書いた棒を私に差し出した。


『は?!私もするの?!』
「あーん?当たり前だろが。」
「name先輩がこれをするって決めたんですから、ね。」


う……、長太郎。
お前も優しい顔して、私に王様ゲームをやらせるのかっ!
ていうか私人数分しか割りばし入れてないよね。
誰だよ、一本割りばし増やしたの。


『(王様でろ、王様でろ。)』


そう祈りつつ、とった棒には"3"と書いてあった。



チクショー!!そうだろうなと思ってた!

残念ながら生まれてこのかた
一度も王様ゲームで王様になったことないんだよ!




「…王様です。」



まさかの樺地が王様?!



「樺地、俺のと変えろ」
「…ウス。」


えぇぇえぇええ?!ズルイよっ!!!
樺地もなんで変えるの!



「クソクソ!跡部が王様かよっ!」
「嫌な予感がすんなぁ。」


なんで皆、跡部が王様って認めてるのさ…。
もうわけわからん……。



ちなみに数字は
@変態めがね
Aジローちゃん
B私
C樺地
Dがっくん
E日吉
Fチョタ
G宍戸
と、なりました。


もちろん王様、こと、跡部には教えてません。

ま、でも樺地の数字はもう知ってるはず…
自分のと変えたんだから。



どうか、3番が指名されませんように…。
特に変態めがねとはあたりませんように…。


「じゃあ一番目の命令…」
『…………。』
「FとGが抱擁。」


よし、私、関係ない。
はは、チョタと宍戸じゃん。
宍戸、ざまぁ。チョタはドンマイ。

あ、でもチョタは宍戸大好きだしなぁ…。
嫌がらないかも。


「はあ?!なんで俺が長太郎と………うわっ?!」


宍戸がしゃべってる途中にチョタが宍戸を抱きしめた。


「これだけでいいんですか?」
「なっ…長太郎…?!」


なにこれ、宍戸ガチ照れじゃん!
宍戸の意外な一面を見てしまった。
とりあえず、写メ。


『チョタ、なんかカッコイイよ…』
「BLに目覚めてまうんとちゃうか?」
「それ変態発言だC〜」
「なんやと?!」



否定できませんよ、眼鏡。
でも、チョタと宍戸なら………許す!
なんちゃって。ヤバいな、私。
眼鏡の変態うつってきたかも…。


「なんかすんなりいって面白くねぇなあ…。次はもっと難しいのにするぜ?」



やめろーーー!
ろくでもないこと言うのやめろ!


私がそれに当たったらどうするのよ!



「じゃあ次はAとDが手を繋いで校舎の中一周!」


AとD、誰だったけな……。


「クソクソっ!Dって俺じゃねーかっ!」
「A〜マジマジ?!俺がっくんと〜?」


意外なペア……

てか男同士が手を繋いで
校舎一周とか恥ずかしすぎじゃんね。


「はあっ?!ジロー?!絶対、嫌!」
「じゃあ誰やったら良かったんや…」
「nameに決まってんだろ!」


?!////


「なんで野郎同士で手を繋がなきゃいけねーんだよ!」


…なんだそういうことか。
今、不覚にも岳人にちょっとトキメいたのに。




「王様の言うことは絶対…」
「頑張ってください! 」



ひどい後輩たちだ。
目が思いきり笑ってる。


「う゛……」
「がっくん行くよ〜」


二人は手を繋いで部室から出ていった。






「アホやなぁ岳人。王様ゲームしたいなんて跡部に言うからや。」
「ア〜ン?何か文句あんのか?」
「いえいえ。」
「ってかよお、部室から出ていったら、アイツらちゃんと手を繋いでるかどうか分かんねぇんじゃねぇの?」


あ、たしかに……。


「そんなのちゃんと考えてるに決まってんだろ。おい、樺地!アレ出してこい!」
「…ウス」


???





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