参謀のデータを狂わすのは私だけ










蓮二の邪魔したくない。

それが別れの理由。





気まずいなぁ…、部活。
正直今日行きたくないや。

1日くらいいいかな?
マネージャーなんて私だけじゃないんだし。



今日だけ屋上でいよう。




放課後。

私は一人で屋上にいた。
ここからはよくコートが見える。

みんなラリーしてる。
マネージャーたちも忙しそうだな……。



サボってるのがバレたら、
真田に"たるんどるっ"とか言われそう。


…蓮二、コートにいないなぁ水飲んでんのかな??
あ、いた…。幸村としゃべってる。あれ?真田もきた。

連二……校舎に入って行っちゃった。
忘れ物かな?珍しー…。






………はぁ。寂しい。


別れたくなかったな。………大好きなのに。







「あなた、なかなか物分かりいいじゃない。」
『?!』



振り向くと、昨日の親衛隊がドアの前に立っていた。


「別れたらしいわね。」
『………。』
「アハハハハハ、いい決断だと思うわよ?」
『………。』


……うるさい。


「あなたじゃ邪魔になるだけだものねぇ?」


うるさい。


「結局その程度なんでしょ。」


うるさい、うるさい、うるさい、うるさいっ!!
やめて!しゃべんないで!もう聞きたくない!!!


『もうアンタと私は関係ないでしょ?!出ていってよ!!!』
「おーぉ、怖っ。そんな可愛くないんじゃ、どちみちフラれてたわよ」


そういって親衛隊は、
出ていこうとして、ドアを開けた。

ガチャっ


「っえ?!」
『…?』
「や、柳くん…?!」



は?蓮二………?

振り向くとドアには親衛隊と蓮二がいた。


「柳くんもしかして今の話、全部聞いて……」
「あぁ、最初から最後まで全部聞かせてもらった。」




なんで……?なんで蓮二がここにいるの?
さっきまでたしかに下にいたはずじゃ……。


「〜〜〜っ」


親衛隊は走って出て行った。


…そりゃそうだよね。本人に全部聞かれてたんだから…。
今、屋上には蓮二と私の二人きり。




最悪。
どうしていいか全くもって分からない。

とりあえず…………









逃げよう!!


私、今すっごい涙目だし。

蓮二の前を通り越そうとした時に。


「とりあえず逃げよう。と、お前は思う。…………逃がさないぞ。」


そういって腕を捕まれた。


『う、うるさいっ離して!』


ジタバタ手を動かすが、蓮二にとっては
ただの無駄な抵抗にしかならないらしく、
蓮二は腕を掴んだまま離さなかった。


「お前はもう…俺のことが好きではないのか?」


……っ!






そんなわけないじゃない。好きだよ。大好き。
本当はずっと一緒にいたいよ。抱きしめてほしい。


でもダメなんだよ……。私じゃダメなの……。


「答えてくれ。」
『………好きだよっ』
「え?」
『…好きに決まってるじゃないっ!バカっ!!いつもデータばっかりとってるくせにそんなのも分からないの?!』



何いってんの…私。
せっかく離れたのに……。
ダメ、これ以上泣いちゃダメ。


でも…止まらないよ…。情けないっ……。



「お前は泣くと、嘘をつけなくなるからな」
『……?!』
「わざと引き止めて泣かせた……すまない」


……。
泣き止めっ…私っ…。


早く"好きじゃない"って言わないと。
思いっきり傷つけてでも、離れないと。


「俺はお前と別れたくない」
『うっ……ひっく…』
「お前のことだ…。俺のためを思って離れたんだろう?」
『……っ。』
「逆効果だ。」
『…っ?』
「別れを告げられた理由やお前のことで頭がいっぱいになって逆にテニスに集中できなくなってしまった…ι」
『っ…///』
「やり直してくれるか?」


…いいのかな?
私が一緒にいても…。


「ダメなのか…?」


首を横に振る。


「そうか…よかった。」


蓮二は私を抱きしめて"好きだ"と言ってくれた。
私が泣き止むまで蓮二はずっと頭を撫でてくれた。







◇◆





数十分後、私と連二は部活にもどった。
もう終わってたけど……。

真田に"マネージャーがサボるなどたるんどるっ"
って叱られてまた泣いてしまった。


「弦一郎、俺のnameを泣かすな。」
「真田副部長ー女を泣かすとかサイテーっスよ」
「紳士的でないですね。」
「プリッ。」
「ありえねぇだろぃ。」
「真田、外周するかい?(黒)」
「うぅ…、すまん言い過ぎたかもしれん。」



真田みんなに攻められて,オロオロしてた。
そういえばジャッカルは何も言ってなかったな。
でもこっそり私には、よかったな、と言ってくれた。



「じゃぁname帰るか。」
『……うん』


色々あったけど、蓮二のもとに戻れてよかった。


「蓮二、大好き。」
『…知っている』
「へへ、そっか。」



そんな話をしながら、
二人は手を繋いで家に帰った。


「お前にフラれる確率は2%だったからな、かなり驚いたぞ。」
『う……ごめん。っていうか、そんな確率までだしてたの?!』
「ああ、もちろんだ。出せるものは出す。」
『………へぇ。』
「何だ?」
『いや何も…。ちなみに連二が私をフる確率は何%なの……?』
「0%に決まってるだろう」
『そ、そうですか//』






∵あとがき
 柳のデータって恋愛系でも
 役にも立つんですかね。

 執筆 2012.01.??
 修正 2014.03.10







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