その名も真田”鈍”一郎



あれから私は真田と関わらなくなった。
真田と関わらない日々はすごくつまらなかった。


授業も休み時間も話さない。クラブでも話さない。
話し掛けられそうになったらすぐに逃げる。

そんな学校生活がもう1ヶ月も続いていた。



今日もまた地獄のクラブ。

真田たちはコートでラリーをしていた。



「なぁ幸村…何故か最近nameに避けられている気がするんだが…。」
「真田…なにかしたのかい?」
「いや、全く心当たりがないのだ。」
「だろうね。君は気付いてないもんね。」
「…?」
「この前ノートに英語で何か書かれたって言ってただろ?」
「それがどうした。」
「和訳してきなよ。俺からの明日までの宿題だ。」
「…幸村、話聞いていたか?俺はnameが…」
「いいから!」
「いま、英語は関係ないんだが…」
「いいから。」
「……むぅ。」













◇◆



放課後。

今日もクラブ行かなきゃ…。
正直もう行きたくないなぁ。サボっちゃおうかな。


…サボろう。


幸村君に怒られてしまいそうだけど、
一日くらいなら体調が悪かったって言えば
なんとか許してもらえそうだ。





数分後、窓の外のコートを見た。


『あれ?今日真田いない…』


そう呟いた時、教室のドアがガラッと開いた。


「nameっ!」


声のするほうを見ると、


『……真田?』
「何故来ないのだ?!たるんどるっ!!」


…何言ってるの?!
バカじゃないの。なんで分かんないの!!


「部活に行くぞ!」


そういって真田は私の腕を引っ張った。


『離してよ……』
「?」
『離してよ、バカ!なんで分からないの!』
「ど、どうした?」


泣いた私を見て、真田はオロオロしだした。


『真田鈍すぎなんだよっ!』
「……ι??」
『私がどんなに頑張っても全っ然気付かないし!好きでも何でもないくせに、私に関わらないでっ!』
「name…」
『私はっ……』
「name!」
『?!』


気付くと私は真田に抱きしめられていた。


『??え?何?真田??』


どういうこと??!
あれ?私、真田、今、あれ?
どういうこと?!!!


「…そのお前の気持ちに気付いてやれなかったのはすまないと思っている…」
『……////???』
「あのノートの和訳をしてだな、ようやくお前の言いたいことの意味が分かったんだ……。」


えぇ?
あ、あれまだ残してたの?!


「俺も、その…お前のことが好きだっ…」
『…うそ。』
「うそなんか言うかっ。」
『じゃ、じゃあ両思い?!』
「…///うむ」


うそ…


『真田…』
「何だ?」
『真田っ…』


両想いだったのになんで私のアタックに気付かないのよ。
本当に鈍いんだから。
でもそんなとこも真田らしくて好きなんです。

…ああもう、涙が止まらない。


「なっ!何故泣く?!」
『っ、ごめん。でも嬉しく…てっ…』
『お前は悲しくても嬉しくても泣くんだな.』


呆れたように、でも優しく笑う真田にまた泣いてしまう。












◇◆おまけ


『そういえば真田さ、あの英文どうやって訳したの?辞書?』
「いや、連二に聞いて訳してもらった。」
『ふー……ん。…ってえぇぇええぇ?!』
「何だ…?!」
『お前かぁっ!!』
「何だ…?!」
『テニス部のレギュラーみんな私と真田のこと知ってんのよーー!!』
「??1年から一緒にいるんだからそら知ってるだろう。」
『知ってるってそういう意味じゃなーい!!つき合ってるってこと!』
「?!何故なのだ?!」
『ラブレター見せたら分かるに決まってるでしょ?!バカーーー!!』
「す、すまん…」







∵あとがき
 真田は英語苦手そう。
 みんなの前でスピーチなんて
 絶対無理に決まってる。
 ちょっと見てみたいです( ̄∀ ̄)

 執筆 2012.01.??
 修正 2014.03.10







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