運命の迷子⇒再会
桜が満開の入学式。
私と親友は今年はれて入試に無事合格し、この氷帝学園に入学した。
「せっかく地元から遠い中学に来たんだから、新しい恋探しなよ?!」
『……うん、そだね』
「もう、忘れなって」
「………」
そう、私はずっと片思いの相手がいる。
突然 現れて 去って行った、
私の9歳の時の初恋の人。
少し青みがかった髪に丸いめがね、
そして関西弁を話していて大阪に住んでいる。
私が落ち込んでいた時に
"一緒に医者になろう"と励ましてくれた。
今でも、私はハッキリと覚えている。
「だってもうどこにいるかも分からないんでしょ?」
『うん…そだね。』
「マネージャーになったらきっと恋もできるって!どこの部に入るの?」
『テニス部のマネージャーをしようかなって思ってる』
だって彼と約束したんだもの。
それに、
テニス部に関わっているともしかしたら会えるかもしれない。
……なんて。私って本当に諦め悪いなぁ。
「じゃあ今日一緒に見に行ってみようか!」
『うん!行く〜♪』
◇◆
「しもた…反対側の電車やったわ。」
最悪や……。
東京は道もよう分からんし、
美味しいタコ焼きもないし、現に今は迷子やし…。
入学式は間に合わんな…。
…name見つけれるかな?
まず俺のこと覚えとるかな?
医者になるための勉強はそれなりにしてきてんけどなぁ。
急に医者になると俺が言いだした時の
お父ちゃんの顔はなかなか、おもろかった。
今はとりあえず氷帝学園に辿りつかなあかんか…。
あぁーもう、どこやねんここはあああ!!
◇◆
一応着いたは着いたけど
やっぱ入学式には間に合わんかった。
テニス部に入部届け出さなアカンな。
とりあえず見学に行こう。
テニスコートに行くとパコーン、と
ボールの打ち合う音が心地よく響いていた。
いい音。この音はそれなりの実力のあるやつや。
ワクワクして、見に行くと、
先輩らがある1年生にボロ負けしとった。
2人がかりで試合をしてもその1年に勝ててへんかった。
そんな強いんかいな。それなら、興味あるで。
「ふがいないなあ。一年にひっかきまわされて。」
「なんか文句があるようじゃねーか、そこの眼鏡。」
そうして俺はこの1年生、
跡部とかいう奴と試合をすることになった。
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