モテる彼氏を持つと苦労します






「おい。風邪ひくぞ。」


顔をあげるとそこには…


『…あと…べ?』
「俺様以外誰に見えるんだよ…ちょっと来い」


そう言って跡部は自分のビニール傘に私を入れ、腕をつかんで立たせた。


『……いや。』
「は?」
『やだ。離してっ』



私って、本当にかわいくない。
でも、好きでもないのに、もうかまってほしくないの。


「俺様が来いっつってんだ、大人しくついて来い。」
『………っ』
「お前はなんか勘違いしてるかもしれねぇが…俺はお前のことちゃんと…その…ほら、」
『…?』
「好き、だから」
『っ///』
「それにさっきの一緒に帰れるっていうのも、お前に言ったんだからな?」
『そ、そうなの…?』


じゃあ全部私の勘違い…


こんなとこまで探しに来てくれた。
初めて跡部に好きって言ってもらえた。
ビニール傘なんて使いたくないとか言ってたのに…。
私を探すために我慢してくれたんだ。

私だけが好きなんじゃなかったんだね。


……そっか、なんだ、良かったあ。


「だから…別れる、っての今すぐ取り消せ。」
『………』
「何だよ?」
『………』
「お、お前の方こそ俺のこと好きじゃないんじゃないのか?!」
『はは…あはははははっ!!』
「何だ?!」
『跡部焦りすぎだよ…っ』


なんだ跡部でも不安になったりするんじゃんっ。


『いいよ 特別に取り消してあげる。』
「なっ……」
『探してくれてありがとう、大好き』


そう言って思いっきり跡部に抱きついてやった。



「おまっ…」


跡部からかうのなんか楽しい…かも
気づけば雨は止んでて、私の涙も止まった。
路地から出たところには樺地がいて、
みつかって良かったです、と一言つぶやいて帰っていった。

樺地にまで迷惑かけていたんだな、と少し彼に申し訳なくなった。




それから跡部は毎日一緒に登下校してくれるようになりました。
むしろ、私が用事があると断ると、
浮気じゃないだろうな、あーん?なんて言ってくる始末です。




まあとにもかくにも、よりが戻って良かったです。







◇◆おまけ



『跡部って照れ屋さんだね』
「あーん?照れてねぇよ」
『ふーんじゃあ、跡部』
「何だ?」
『景吾 愛してるっ』
「?!////」
『あ、ほら今照れた!』
「うるせぇ照れてねぇ」









∵あとがき
 こんなモテモテな彼、私ならいやですわ。

 ま、でも跡部ですから…
 跡部を好きになってしまった人の
 宿命ですよね、これは。


 執筆 2011.12.28
 修正 2014.03.09



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