モテる彼氏を持つと苦労します





私の彼氏はモテます。ええ、モテますとも。
顔よし、頭よし、運動神経よし、財力よし。
モテてモテて、もうとにかくモテすぎ。
その魅力少しは分けていただきたい。


彼女の私の身にもなってほしいもんだよ。


放課後はほとんどクラブで一緒にいれないし帰れない。
たまにクラブがない日は(女子からの)体育館 裏への呼び出しが多発。


とまあ不満だらけだし年中無休妬いてるけど、
やっぱり跡部が好きということは変わらない。


あぁ、なんて心の広い彼女なんでしょうか!



でも普通、好きな子と全然一緒にいられないのって平気なのかな?
私はこんなに色々考えてるけど跡部は考えてるのかな?


考えてない気がする。


あれ……
跡部って私のこと本当に好き?


そういえば私 跡部に一回も
好きって言ってもらったことないよね。



………………。


あー!ダメ!ネガティブになってる!
跡部の考えてることなんて
私がここでもんもんと考えたって分からない。
よし、今日直接本人に聞いてみよう!






◇◆



たしか今日は何故かは知らないけどクラブ休み。
帰るの誘って聞いてみようっと。


終礼後の跡部の背中に言葉を投げかけた。



『跡部、今日は一緒に帰れる?』
「あーん?…おぅnameか」


おう、じゃねーよ!
帰れるのか帰れないのか答えろー


『ね、で一緒に…「けーごーっ」


跡部のクラスの私の知らない女子が私と跡部の間に割って入ってきた。


「ねーぇ、一緒に帰ろっ!」


……え?なんで??

疑問@
なんで景吾って呼んでる?
疑問A
なんで一緒に帰ろうとしてる?
疑問B
私が彼女って知ってる?


「ねーいいでしょっ?」
「………」
「ねーぇ!」


先に質問したの私だし!ていうか私、彼女だし!
いいわけないでしょ!跡部、断るに決まってるし!

うん…

……断るよ、ね?


「…あぁ」


え?

何言ってんの………


「やった!ちょっと待ってて、帰る準備してくるからぁ」


黄色い声を上げたその子は、
ざまあみろとでも言うような目で私を見下して
席に戻り、急いで支度をし始めた。


へぇ、

………あ、そ。



『別れよ。』
「えっ?」
『え、って何?』
「ちょっ、おい、待てよ!」


もう待つも何もないじゃん。


「何でそんな急に…」
『急に?なんでって…?分かんないの?!』
『毎日、毎日クラブだし、たまにクラブがなかった日だって忙しいって下校さえ一緒にしないじゃない!』
「…っ」
『跡部、本当は私なんか好きじゃないでしょ?!』
「そんなことな……『もうつき合ってても...全然楽しくないの…っ』



跡部の返事なんか聞かずに急いで教室を飛び出した。


今まで我慢してきたことを一気に吐き出してしまった。
可愛くない女だと思われたかもしれない、
メンドクサイ女だと思われたかもしれない。


あぁもうダメだ…、絶対嫌われた。
でももう別れたんだし。嫌われた方が楽だったかもしれない。


そうだよね。
考えてみればこんなの当然のこと。
あの跡部が、私みたいなののこと本気で好きになるわけない。
今まで、こんなに思い上がっててバカみたい。


それでも…今、涙で前が見えないくらいは私は本気だった。
こんな顔じゃ家に帰れない。
私は泣き止むまで路地裏を一人で歩いていた。



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