生きるよ、あなたがそれを望むなら



あの時、
どうして水族館に行きたいなんて言ってしまったんだろう。
どうして小腹がすいたなんて言ってしまったんだろう。
どうしてもっと早く気づけなかったんだろう。
どうして自分で逃げれなかったんだろう。
どうして どうして どうして。


そればっかり考えてしまうの。


ねぇ、岳人 あなたは今どこで何をしているの?
大好きだった空を跳びまわってる?
大切なテニス部の練習にこっそりまぎれてる?
それとも、私のこと見てくれてる?



私あれから何度も色々なこと考えたんだよ。
何度も死にたいって思った。死のうと思った。


だってね、私の未来の計画にはね、いつも岳人がいたから。
同じ高校に行く約束して、
一緒に勉強もして、
受験が終わればたくさんデートもして、
映画見たり、海に行ったり、
あの日できなかったことも沢山して、
大学を卒業して、
岳人が働くようになれば結婚するの。
子供もできて、
遊園地に連れて行ったりして、
初デートの場所なんだよ、って水族館にも行って、
おじいちゃんおばあちゃんになってもずっと一緒。

そして、岳人が終わるときが私の終わるとき。
そう信じていたんだよ。



だから、屋上のフェンスの向こう側に何度も立った。
でもその度に岳人の言葉がそれを邪魔するの。



自分はこれから遠くに行ってしまうくせに、
最期にひどく無責任なこと言ってくれたね。


"生きろ"なんて…。




そんなこと言うから、死ねなくなったじゃない…。




岳人に頼まれたら仕方ないね。


私はこれからも生きるよ。

あなたが私を生かしたんだから、
あなたが生きろというのなら私はこれからも生きる。



だから私からのお願いも一つ聞いてもらえるかな。



「ずーっと、私の、傍にいてください。」



隣にあなたがいるなら、
それが分かっているなら、

私はまた、前を向いて歩いていける。





∵あとがき
 初の夢が死ネタってどうなんですかね。

 執筆 2011.12.28
 修正 2014.03.09



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