生きるよ、あなたがそれを望むなら



水族館はかわいいハロウィンの飾り付けがされていた。


『かわいいねー。』


魔女の服のペンギンや黒猫のまんぼう。
吸血鬼のサメもいた。これはちょっと怖い…


「じゃあ俺は入場券買ってくるからそこで待っとけよ」
『はぁい』


そう言って 手が離れた。

なんか寂しいな、券買うの一緒についていけばよかった。


今日は休日というのもあってか水族館は人でいっぱいだった。
入るために入場券を買ったら、入場制限のために
整理券も一緒にもらわないといけないくらい。


「俺らの券は16:00からだからあと1時間はあるぜ?」
『まだまだだね…なんか小腹すいたなぁ』
「じゃあカフェでも行っとくか?」
『カフェなんてこの辺にあるの?』
「あっちみてみそっ」


岳人が指さした方を見ると
道路沿いにかわいらしいカフェがちょこんとあった。


『カフェだ!』
「しょうがねぇから今日はおごってやるよ」
『え!本当に!?やったー!岳人大好きっ!!』
「おー、お前ほんと奢るに弱いな。」


そうして二人でそのカフェに入った。

カフェは私たちと同じで、水族館の入館待ちの人たちが多かった。
店員さんに誘導されて座ったのは窓側の席だった。



「なに食う?」
『抹茶パフェ!』
「婆くせぇ〜」
『はぁ?!抹茶は美味しいんです〜。ま、お子ちゃま岳人には分かんないだろうけどね!』
「なっ?!」
『どうせイチゴパフェとかたのむんでしょ。』
「!!」
『図星だぁ!』
「うるせぇ!くそくそっ!!」


家族とかと来たときもいっつも
イチゴパフェとかオレンジジュースだし。
さっき奢るとか言ってたときは、なんかカッコいいなと思ったけど、
やっぱりこういう岳人はどっちかというと、かわいいな。

注文すると5分も経たないうちに、パフェが二つともきた。
もちろん岳人はイチゴパフェ。


「まじうめぇ、最高!」
『そんなに?』
「nameも食べてみそ」


そう言って岳人は私の口にイチゴパフェをつっこんだ。


『?!』
「ん?」


こンの、天然タラシめ...。


「…ぉいしいです。」
『だろだろっ!』




そんな話をしている時だった。
やけに外が騒がしくなった。
近くにいた客はこちらを見て目を見開いていた。
それも一人や二人なんかじゃなくて。

一言で言うなら違和感。


ふと、みんなの見ている方向へ目を向けると
窓ガラスの向こうから赤い車が走ってきているところだった。

状況を理解するより先に岳人の大きな聞こえた声が響いた。



「name!!危ねぇ!!」



『え....』



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