生きるよ、あなたがそれを望むなら
私があの日あんな所に行きたいなんて言わなかったら
もう少し早く気づけていたら、
今とはもっと違う未来になっていたかもしれない。
あなたは今も私の隣にいてくれたのかもしれない。
そんなどうしようもないことばっかり考えてしまうの。
ねぇ、岳人 あなたは今どこにいるの?
◇◆
『岳人まだかなー……』
今日は念願の初デート。
ずっと片思いだった幼なじみの岳人に告白しようと
ベタだけど、屋上に放課後呼び出したのは、ほんの数日前のこと。
呼び出したのは私なのに、何故か
私が屋上に着いた時には岳人はもうすでにそこにいて、
私を見つけるや否や「好きだ!」と逆告白されてしまったのだ。
忍足に手伝ってもらって必死に考えた言葉も、
昨日家で何度も練習したのも、全て無意味になってしまったわけだけど、
そんなこと、どうでもよくなってしまうくらい嬉しかった。
「nameー!悪ぃ待たせた。」
『?! ううんっ全然、待ってないよ!』
びっくりした!
今、顔…ニヤけてなかったかな。
「何、一人でニヤニヤしてんだよー」
『なっ…!』
バッチリ見られてた…。
私にとっては顔から火が出るほど恥ずかしかったけど、
岳人はさほど気にもせず歩き始めたから、私も忘れることにした。
『ねぇ、どこ行くの?』
「んー秘密。」
『昨日もそう言ってたっ!』
「行ったら分かるだろー」
『気になるもん…』
気になるけど、岳人は意外と頑固だし、
きっと何度聞いても無駄だろう。
私が折れるしかないな。
それに着いてからというサプライズでも悪くないか。
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