「スモーカーさん。」
「あ?」


今日の仕事は本部で資料まとめ。
この間行った島の報告書の提出もあり、
朝からずっと部屋から出ていない。


「今日から新しい子がG-5に入るらしいですよ。朝、センゴクさんが言ってました。」
「…新しい?そんなもん、いつも一々報告なんて来ねぇだろ。」
「そうなんですが。今回の子はいつもと違うんです。」
「…?どういうことだ?」
「入ってすぐ中佐になったらしいですよ。」


そんな話は聞いてねぇぞ。
…いや、部屋から出てないんだから当たり前か。


「よっぽど、いかつい男なんだろうな。俺が言えたことじゃねぇが。」
「…あぁ、いえ。女の子と聞きましたよ。」
「女ァ?」


手に持っていた万年筆がゴトッと落ちた。

一瞬ゴリラのようなものを
想像してしまった自分を殴りたい。



「えぇ、もうそろそろ挨拶にくるかと…((コンコンッ…あぁ噂をすれば。」
「……入れ。」




そう言うと遠慮がちにそー…っと扉が開いた。

そこに立っていたのは間違いなく女だった。

しかも体格も別にいかつくなくて、
たしぎと大して変わらない。

肩からは少尉以上の者に許される上着を羽織っていた。


…いや、んなこたぁどうでもいい。


「…ーッ?!お前はッ、」
「お久しぶりです♪!」



コイツは、この前の酒場にいた…、



「…え?スモーカーさんお知り合いですか?」
「知り合いも何も…テメェ海賊だろうが!」
「えぇ、海賊??!」
「 いえ!海軍です!」



たしぎが自分の腰にある剣に手をかける。



「ちょ、ちょっ!待ってくださいよ!私、本当に海軍なんですって!ちゃんと試験も受けてきました!」
「海賊ってことを隠してか?」
「言いましたよ、ちゃんと!」
「は、話になりません!私、センゴクさんのところへ行ってきます!」
「え?あの、ちょっと…!」



ソイツを押しのけて、たしぎは
扉を勢いよく開けて出ていった。







「……。」
「……。」
「あー… ゲニーピッグだったか?」
「はい、 ゲニーピッグ・ファイブ・名前です。でも、ゲニーピッグって呼ばないで下さい…」


少し顔が暗くなった。

話をそらすか。



「…お前、本気で海軍になったのか?」
「当たり前ですよ!」


簡単な気持ちで受かるような
試験じゃありませんでしたよ、と
頬をぷぅー…とふくらませた。


たしかに、スパイのように
海軍の情報を取ろうとしているのなら、
元海賊だなんてわざわざ言わないだろう。

それにコイツの言った通り海軍の試験は
そう簡単に受かるような試験じゃねぇ。





…それにしても、前も思ったが、
やはりコイツは海賊だというのに、
見たことも聞いたこともねえ。

報告書にも一回もあがっていない。




「…お前、海賊の時、賞金首になってたか?」
「賞金首…?」
「ああ、お前みたいな海賊は見たことねぇからな。」
「いや、なってないと思いますよ。」
「仲間は?」
「いません。」
「船は?」
「ありません。」
「は?」


…は?


「そりゃ、お前どういう…「スモーカーさんっ!」


質問しようとしたら、
たしぎが行きと同じく
勢いよく扉を開けて戻ってきた。



「なんだ?」
「…その子大丈夫…みたいです。」
「あ?」
「えっと、名前ちゃん…だっけ?あなた、どれくらいの間、海賊だったのですか」
「一日です!」
「はァ?!」


1日?!


「…だそうです。」
「お前…1日って…。」
「…なんですか?」


おいおい、そりゃねぇだろうよ。


「ブッアッハハハハハハ!!」
「なっなんなんですか!//」
「そりゃ、賞金首になんかならねぇなぁっ!」


たしぎも、肩を震わせて笑っている。



「なぜっ…あなた、は…っ…海賊に、なろうと思ったのですか?」



たしぎが笑いながら質問した。



「え、なぜって…能力者は海賊にならないといけないと聞いたので…」
「え?あなた、能力者なのですか?!…というより何そのルール。誰から聞いたんでしょう?」
「…知らない人です。」
「そんなもんデタラメだ。もしそうなら俺も海賊にならないといけねぇことになる。」
「スモーカーさんも能力者なんですか?」


百聞は一見にしかず。

左腕を煙に変えて、
名前のところまで伸ばした。


「きゃああああああああ?!」
「これが俺の…モクモクの実の能力だ。上司の能力くらい覚えておけ。」
「う…あ、はい。」


驚きがおさまらないのか、
目をまん丸にしていた。



「さっきはごめんなさい、私はたしぎです。ここG-5のスモーカーさんの部下ですよ。これからよろしくお願いします。」
「はい!名前です!よろしくお願いします!」
「俺は…「スモーカーさんですね!知ってます!大好きです!」…まだそれを言ってんのか。」



こんなに目をきらきっらされたら、
そう簡単には邪険にできない。


たしぎは驚いていたが、
俺と目が合うと笑い出した。


「モテモテですね、スモーカーさん。」
「…たしぎ、テメェ…、覚えとけ。」
「ふふ。」








「 ゲニーピッグ・ファイブ・名前、これから海軍G-5で一生懸命頑張ります!」






…………


∵あとがき 
 前回は、"今日から私海軍です。"
 とか書いときながら、結局海軍に
 入ってませんでしたからね…(´・ω・`;)

 スモーカーもたしぎちゃんも
 海賊が大嫌いなのでどうしようか
 とっても困りました。
 なんとか受け入れてもらえれてよかったです。






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