『暇だなぁ…。』


夕方になり、日が落ちると、
私は部屋から出ないよう言われている。

同じ村のもの以外の訪問者が
来ても出てはいけないらしい。


『リョーマ…大丈夫かな。』


どうか無事であってほしい。
桜乃ちゃんのことだって嘘だと思いたかった。
でもお葬式の時冷たくなった体を触って、
これは現実なんだということを突きつけられた。


窓から青学村と、反対側の村、
氷帝村を眺めていると赤い髪の男の子が
何かを背負って走っていくのが見えた。


氷帝村は、かなり大きな村で
住人も200人を超える。
だから、私が話したことのない人も沢山いるし、
顔のわからない人も沢山いる。

でも、あの赤い髪の男の子は分かる。
話したことはないけど、
よく村長の跡部の近くにいるのを
見たことがあるし、忍足から話を聞いたこともある。


いつも飛び回ってるけど、
今日もなんだか急いで走っている。
何かあったのだろうか?

よく見てみると彼が背負ってるのは人だった。
あれは、


『リョー…マ…?』



一瞬だったから確定はできない。
でもあれはリョーマな気がする。

確かめようと部屋から出ようとすると、
外から跡部の大きな声が聞こえた。




「おい!手塚!越前が見つかった!!危ない状態だが息はしている!」



リョーマが!
やっぱりあれはリョーマだったんだ!
よかった、無事だったんだ…。


部屋から出るな、という言いつけも忘れて、
みんなに続き、私も急いで外に出た。




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