その日、朝とは思えないほどの
騒がしさで、目を覚ました。


朝の弱い私でも、
すぐに異変に気付くぐらい、
外の騒がしさはおかしかった。


『何があったんだろう…?』


気になって外に出ようと私が
部屋のドアノブに手をかけたのと同時に
弦一郎が急いで部屋に入ってきた。

いつもは必ずノックをして
返事を聞いてからドアを開けるのに…。



『げ、弦一郎…どうしたの?何かあったの?』
「お前は無事だったかっ、よかった…」
『無事…?どういうこと?誰か怪我したの?!』
「…いや、立海村は大丈夫だ。」
『??』
「お前は俺が来るまでこの部屋から出るんじゃないぞ、分かったな。」
『どうして?あっ…ちょっと!弦一郎!!』


私の静止を聞かず、
弦一郎は部屋を出ていってしまった。

外で何かが起こってる、間違いない。
しかも弦一郎の慌てぶりからすると、
怪我人も出ているに違いない。

知り合いが危ない目にあってるかもしれない。
そんな時に部屋で大人しく
待ってられるわけないじゃない!


部屋を出ると、隣の部屋からブン太が出てきた。


『ブン太…』
「ナマエ、何があった?」
『私も分からないの。みんなは?』
「分からねぇ。今真田が俺の部屋に来たんだけど、またどっか行っちまったんだよぃ…」
『私もそうなの…。隣の村まで行ったのかもしれない!行こう!』
「ああ!」


私とブン太は急いで家から出て、
みんながいるであろう隣の村へ走った。


『弦一郎、普通じゃなかったよね。』
「ああ、おかしかった。」
『………。』
「………。」


怖い。
どうか何もないでいて。
何かの間違いであってほしい。



隣の青学村に着くと人だかりが出来ていた。
その中には弦一郎も柳も仁王もみんないた。


『弦一郎…っ!』
「部屋にいろといっただろう!バカもの!」
『っ!ごめんなさい…でも、気になって。』
「フザけんな!いきなり起こしといて、ジッとしとけなんて無茶な話だろぃ!」


そう言ってブン太はずかずかと
人だかりがの中に入っていったが、
何かを見つけるとピタッと止まった。


「…な、なんだよ、これは。」
『なに?なんなの?』

私もそれに続いて人だかりに近づいた。


「ナマエ!見るんじゃなか!」


仁王が急いで私の手を引いたが遅かった。


『桜…乃、ちゃん?』


腰のあたりまで伸びた長い三つ編み。
昨日まではいつも通り可愛らしく笑っていた。


その桜乃ちゃんが血だまりの中で倒れている。


『…っ、!?…』
「だから部屋で待っていろと…!」
「ナマエ、落ち着くんじゃ。」
『……ぃやっ、なに?なんなの?!』


一瞬しか見えなかったが、
ハッキリと瞼の裏に焼き付いてしまった。
桜乃ちゃんの死体が。



『いや、いや、いや、いやああああああああっ!』


私は隣にいた弦一郎に、
しがみついて、泣き叫んでいた。

他の人たちも下唇を噛み締めて震えていた。


どうして?誰が?桜乃ちゃんを?
意味がわからない。
彼女には殺される理由がない。
もちろん、他の人にもないが。




桜乃ちゃんの葬儀が終わったあと、
代表者が集まって話し合いを行うことになった。

私たちの村からは柳と弦一郎が
その会議に参加することになった。






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